【面接・小論文対策】医学部入試で出やすい時事問題まとめ(2025〜2026年度)
医学部入試で出やすい時事問題を入試向けに整理しました。出題されやすい視点・覚えるべき事実・短答・論述の練習問題と模範解答の例を載せています。公式資料や主要報道を参照して作成しました。
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はじめに(なぜ医学部受験では時事問題が必要か)
日本の医療は「高齢化の進展」と「医療資源の偏在」「技術革新(異種移植・AI等)」という複数の大きな潮流に直面しています。これらは政策論や臨床倫理、医療提供体制の在り方に直結するため、医学部入試の時事問題として取り上げられやすいテーマです。入試では「事実の正確な把握」+「医療者としての論理的な考え方(メリット・リスク・利害の整理)」が問われることが多い点を念頭に学習してください。
1 地域医療(地域医療構想・在宅医療の推進)
最近のポイント(要点)
- 厚生労働省は「2025年に向けた地域医療構想」の推進を改めて指示し、病床機能の分化・連携の可視化・在宅医療の拡充を都道府県と医療機関に求めています。特に2025年は「団塊世代が75歳以上になる年」であり、医療需要の構造が急変すると見込まれているため、地域ごとの計画が重要視されています。(厚生労働省)
どのような問題が入試で問われやすいか
- 「地域医療構想とは何か」「病床機能分化の意義」「在宅医療の利点と課題(人材・資金・連携)」「医療と介護の連携の必要性」を組み合わせた論述。
- 具体例:災害時や離島での医療確保、二次救急の集約と一次ケアの強化など、ケーススタディに基づく解答を求められることが多い。
覚えておきたい事実
- 2025年に向けた国の支援方針(見える化ツール、都道府県の支援)が整備されている。(厚生労働省)
出題例(短答)
問:地域医療構想で重視される「病床機能分化」が目指す主なねらいを一つ挙げ、そのメリットを説明せよ。
模範解答(例):急性期・回復期・慢性期で病床の機能を分け、専門性に応じた医療提供を行うことで医療資源を効率化し、重症患者に対する高水準の医療を維持しつつ、長期入院の抑制による医療費の適正化や在宅移行の促進が期待される。
2 異種移植(いしゅしょく)――なにが進んでいるか、倫理・規制の論点
最近のポイント(要点)
- 世界的には「遺伝子操作したブタの臓器」を人に移植する臨床例が短期間で増えています(腎臓や心臓、報告では肺や肝の実験報告も)。臨床成績はまだ初期段階だが、移植不足の根本的解決の可能性として注目されています。日本でも厚生労働省の審議会や専門委員会が設置され、臨床応用に向けた条件・倫理・感染症対策が検討されています。(厚生労働省)
なぜ医学生が押さえるべきか
- 倫理(動物福祉・ヒトへの未知の感染リスク)、免疫学(深刻な拒絶反応と免疫抑制の課題)、公衆衛生(ウイルス交差感染の監視)、規制(治験承認・長期追跡)など、医学の複数分野が交差するテーマです。入試では「医学的な利点とリスクを整理して自分の立場を根拠づける」型の出題が想定されます。
覚えておくべき内容
- 世界の臨床例では、遺伝子改変ブタの腎移植や心臓移植の報告があり、研究段階ながら生着や短期的生命維持が確認された例がある。日本では審議会で実施条件が議論されている。
出題例(論述)
このテーマは明確な答えが無く人によって回答が異なるためグループ討論(ディベート形式)やMMI(Multiple Mini Interview)面接などにおいての使用が考えられます。
問:異種移植を「臨床導入」することの賛成と反対をそれぞれ三点ずつ挙げ、最終的な自分の立場とその理由を述べよ。
解答の組み立て方(ヒント):
- 【賛成の論点】移植待機者の救命、供給不足の構造的解決、研究による免疫学・移植医療の進展
- 【反対の論点】新たな感染症リスク(動物由来ウイルス)、社会的受容性と倫理、長期成績が不明である点
- 【自分の立場】(例)「条件付きで慎重に進めるべき」→厳しい感染症対策、倫理審査、長期追跡と説明義務を前提に治験を認める、など。
3 終末期医療の指針改訂(表現の変更と臨床への影響)
最近のポイント(要点)
- 学会・行政での用語や指針の整理が進み、「終末期」よりも「人生の最終段階(最終段階)」という表現が用いられる流れが強くなっています。日本老年医学会は2025年に「立場表明2025」を公表し、用語定義や決定プロセス、意思決定支援(事前指示やACP=事前ケア計画)の重要性を改めて示しました。厚生労働省のガイドライン類でも「決定プロセス」の明確化が進んでいます。(日本老年医学会)
出題されやすい論点
- 「本人の意思決定能力の変化に対応する方法」「代理意思決定の範囲」「延命処置の中止・非開始の倫理的根拠」「ACPの実践と記録の重要性」などが典型的テーマです。特に事例問題で「患者は意思表示が困難。家族の希望は延命。医師はどうする?」といったケースがよく出ます。
覚えておきたい要点
- 「人生の最終段階」という概念は、医学的見通しと患者の価値観の両方を踏まえて判断することを強調する。ACPの文書化とチーム間の共有が推奨されている。
出題例(事例)
問:認知症が進行した高齢患者で本人の意思が確認できない場合、家族から「延命を続けてほしい」との強い要望があった。医師として取るべきプロセスを簡潔に述べよ。
模範例・解答の骨子:本人の過去の意思(事前の発言や文書)の確認→医療的見通しの説明(治療の見込みと負担)→家族と繰り返し話し合う(ACPの趣旨)→医療チームで倫理的・法律的観点を検討→必要なら倫理委員会や第三者相談を利用し、文書で決定過程を残す。(厚生労働省)
4 高齢化と医療の実務(臨床と制度の接点)
最近のポイント
- 日本の高齢化は速度が速く、**2025年には75歳以上が人口の約18%**に達すると見込まれています。高齢者の増加は慢性疾患・多病併存・認知症・在宅での急性増悪などを増やし、医療提供の形を根本から問い直す必要があります。(厚生労働省)
試験で問われる可能性の高いテーマ
- フレイルの概念(予防と介入)、多剤併用と薬剤性有害事象の管理、在宅医療の看取り、地域包括ケアの仕組み。実践的な臨床判断(高齢者の虚弱に伴う治療の選択)を問う問題が出やすいです。
覚えておくべき事実
- 2025年以降、急速な高齢化に対応するため「在宅医療」「訪問診療」「地域包括ケア」の強化が国の方針に組み込まれている。(厚生労働省)
出題例(短答+解説)
問:高齢者医療で「フレイル」とは何か、簡潔に述べよ。
模範解答:加齢や疾患で身体的・心理的・社会的な脆弱性が増し、小さなストレスで機能低下や入院に至りやすい状態。予防・早期介入で生活機能の維持が可能である。 (ポイント:栄養・運動療法・社会参加が対策)
5 医療・介護人材の不足(規模と対策)
最近のポイント(要点)
- 介護職員の必要数は今後さらに増え、2026年度に約240万人、2040年に約272万人が必要との推計が示されています。看護師についても需要が供給を上回る見込みがあり、2025年に数十万単位の不足が懸念されています。国は医師偏在対策や医学部定員の調整、女性や高齢者への働きやすさ改善など複合的な対策を検討しています。(厚生労働省)
入試で問われやすい点
- 「なぜ人材不足が起きるか(人口構造、労働環境、地域偏在)」「どのような政策があるか(医学部定員、奨学金、地方枠)」「病院経営や地域医療に与える影響」など。実務的な政策評価を問う論述問題が多いです。
覚えておきたい数字
- 介護職員必要数の将来的な増加(2026年約240万人、2040年約272万人)。医師偏在対策の審議会で医学部定員・地域枠の配分が検討されている点も重要。
出題例(論述)
問:若手医師の地方定着を促進するために大学病院と自治体が連携して行える施策を三つ挙げ、それぞれのメリットを述べよ。
解答のヒント:教育的研修(地域医療研修の必修化)→実地経験で定着率向上/奨学金と地域勤務義務(返済免除)→経済的誘因/ワークライフバランス対策(短時間勤務制度、保育支援)→定着と離職低下。(厚生労働省)
6 人工知能(AI)と医療――技術、規制、倫理
最近のポイント(要点)
- 生成型AIや機械学習を用いる医療用途に対して、実務での安全利用のガイドラインが複数団体から出されているほか、医療機器としての承認や審査の枠組み整備が進んでいます。日本では「医療・ヘルスケア分野における生成AI利用ガイドライン(第2版)」が公表され、個人情報保護、責任の所在、薬事承認対象の判断などが整理されています。PMDA側でもAIを用いた医療機器の審査や二段階承認制度など運用が進んでいます。(医療AIプラットフォーム技術研究組合(HAIP))
医学部入試で問われやすい観点
- 「AIを診療に用いる際の利点・欠点」「医療者の責任(最終判断)」「個人情報と学習データの扱い」「医療機器承認の意義」の整理。短答で法令の名称を問うこと、論述で事例に対する判断を問うことが多いです。
覚えておくべきポイント
- 生成AIの出力を臨床判断に用いる場合、該当プログラムが「医療機器」に該当すると薬事法に基づく承認が必要になる可能性がある(ガイドラインの要旨)。また学習データの個人情報管理や出力の検証が重要とされる。
出題例(短答+論述)
問(短答):生成AIの医療現場利用で、学習データに個人情報が含まれる場合に必要な対応を一つ答えよ。
解答例:匿名化や仮名加工を行い、個人情報保護法等の法令に従って取り扱うこと。
問(論述):人工知能が提示した診断候補に従って治療を行い、合併症が生じた。責任の所在について3点挙げて論じよ。
解答の組み立て方:医師の最終判断義務(AIは支援であり医師が説明責任を負う)、開発者の情報開示義務(モデルの性能・限界)、医療機関の導入時の検証義務(運用ルールと監査)が争点。加えて患者への同意取得や説明(AI活用の旨)も論点。(PMDA)
最後に:学習の実践ポイント(受験対策)
- 事実は公式資料で確認:入試の時事問題は「事実(何が起きたか)」+「自分の見解」の両方を求められることが多い。公式(厚生労働省、学会、PMDA 等)の資料は必ず目を通す習慣をつけること。
- 図解で整理:地域医療のしくみや「利点・欠点」・「政策の目的」を一枚の図にまとめておくと論述で使いやすい。
- 模範解答の型を作る:「定義→現状データ→メリット/デメリット→結論(自分の立場)」の順で答える練習を繰り返す。
- 数字は押さえる:高齢化の主要な推計や介護人材の必要数、看護師不足の見込みなど、試験で数値を問われることがあるため主要数字は暗記しておく(本文中の数値を参照)。ただし資料を持ち込めるわけではないので、覚え違いや面接官側の理解の齟齬などでボロが出る可能性もあるため、あくまで大枠(大小や割合)を覚えておいて詳細数については触れず大枠の理解で面接に臨むのがベター。
参考・出典(主な一次情報/解説)
(本文中で参照した主要資料の抜粋。各項目の詳細はここから確認してください)
- 地域医療構想に関する厚生労働省のページ(2025年に向けた進め方)。(厚生労働省)
- 「新たな地域医療構想について」(厚生労働省資料)。(厚生労働省)
- 異種移植の現状と課題(厚生労働省用資料/専門委員会資料)。(厚生労働省)
- 海外の最近の臨床報告(AP/The Guardian/Wall Street Journal 等の臨床報道)。(AP News)
- 日本老年医学会「高齢者の人生の最終段階における医療・ケアに関する立場表明2025」。(日本老年医学会)
- 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケア」関連資料。(厚生労働省)
- 介護人材確保に向けた国の推計(第9期介護保険事業計画関連)。(厚生労働省)
- 看護職員の需給見通し・報告。(厚生労働省)
- 生成AI利用ガイドライン(第2版、医療・ヘルスケア分野:HAIP-CIP)。(医療AIプラットフォーム技術研究組合(HAIP))
- PMDAのAI医療機器・プログラム医療機器に関する報告書・承認運用。(PMDA)
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