2024.06.23

なぜ医学部の学費は高いのか?理由と原理を解説

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医師という職業の魅力とハードル

医師は時代を問わず常に人気の職業のひとつです。子供を持つ親からも医者になってほしいと願う人も多いです。不景気である今こそ医者には人気があります。
しかし医師になるための道のりは決して平坦ではありません。そのハードルの高さは、特に勉強の難しさと学費の高さに起因しています。

医師になるための学費の現実

医師になるためには、まず医学部に入学しなければなりません。そして、医学部の学費は大学の種類(国立、公立、私立)や大学によって大きく異なります。

国立大学の学費

国立大学は国が運営しており、医学部の学費は6年間で約350万円から400万円ほどです。千葉大学と東京医科歯科大学は若干学費が上がり、総額414万円となっています。

公立大学の学費

公立大学は地元の自治体が運営しており、学費は国立大学とほぼ同じで6年間で約350万円から400万円です。地元出身の学生の場合、さらに学費が軽減されることもあります。

私立大学の学費

私立大学の学費は大学によって大きく異なります。国際医療福祉大学は私立大学の中で最も学費が安く、6年間の合計で約1,900万円です。一方、川崎医科大学は最も高く、6年間の合計で約4,700万円です。

なぜ医学部の学費は高いのか?

  1. 高額な教育費の理由

    高い人件費

    医学部の教育には多額の費用がかかります。医学部の教育には多くの専門的な知識と技術が必要で、これを教えるためには高額な人件費がかかります。教授や准教授、助教授、助手といった高度な専門知識を持った人材の人件費、さまざまな実験や解剖のための高価な器具や材料、大学病院での臨床実習の費用などが挙げられます。医学部の教育には、1人の医師を育てるのに5,000万円から1億円もの費用がかかると言われています。そもそも医者が高給取りなことを考えれば医療技術をもつ人材を多数抱える時点で多額の費用が掛かることは想像に容易いですね。特段免許のいらない文系の大学教授などとはわけが違うのです。

    高額な実験・教育設備

    医学部の教育にはさまざまな実験や解剖が必要で、これらには高価な器具や材料が必要です。また、大学病院での臨床実習には最新の医療設備や研究費用がかかります。これらの費用も学費に反映されています。

  2. 学生数の制限医学部の学生数は国によって制限されており、学生数を増やして収入を増やすことができません。医師の数が増えすぎて医療の質が下がらないよう国が制限しています。そのため、1人あたりの学費が高くなります。能力の低い医者を増やすわけにはいかないと考えれば当然かもしれません。
  3. 大学病院の経営医学部には大学病院が併設されており、最新の医療を提供するために高額な薬剤や医療機器、人件費が必要です。しかし、診療報酬が低いため赤字になりやすく、学費が大学病院の経営に充てられている可能性があります。特に昨今のコロナウイルス騒動で多くの病院は赤字になりました。東京女子医大などはそのあおりを受けて学費が値上げされました。

学費が高くても医師を目指す理由

2020年度の私立大学医学部の志願倍率は全体で14.9倍、川崎医科大学では21.6倍と非常に高いです。学費が数千万円かかっても、多くの受験生が医学部を志願する背景には、医師の安定した高収入が関係しています。厚生労働省の発表によると、医師の平均年収は1,378万3,000円であり、大学に数千万円を投資しても数年で回収できる計算です。

学費を抑える方法

国立大学

国立大学であれば、私立大学と比べて学費が圧倒的に安く済みます。他の学科と変わらない350万で済むため私立に行くより何千万も安くなります。多少遠方へ下宿することを考えても私立に行かせるより圧倒的に安上がりです。

奨学金制度

私立大学でも、さまざまな奨学金や給付金制度を利用することで学費の負担を軽減できます。

  1. 日本学生支援機構の奨学金 最大月額16万円の貸与を受けることができます。
  2. 都道府県の奨学金 卒業後一定期間、指定の病院で働くことを条件に月額10〜30万円程度の貸与を受けられます。
  3. 学校独自の奨学金 学校によって異なりますが、入試や成績によって授業料の一部を貸与してくれる制度があります。

特殊な制度

産業医科大学では卒後産業医として一定期間働くことを条件に学費の自己負担が三割になる制度、自治医科大学では卒後出身地の指定された病院で一定期間働くことで学費が無料になる制度もあります。

まとめ

医師になるための学費は確かに高額ですが、その背景には高度な教育体制や大学病院の経営維持が関わっています。学費を抑えるための奨学金や給付金制度を活用することで、夢の医師への道が開ける可能性があります。医師という職業の魅力とやりがいは、こうした投資を上回る価値があると言えるでしょう。

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