京都府立医科大学で入試の採点にミス発覚 医学部に2名が追加合格へ
京都府立医科大学が実施した2025年度医学部入学試験で、英語の記述式問題の採点に誤りがあったことが明らかになり、合格者の再判定を経て2名の受験生が新たに合格となるという異例の対応が取られました。この出来事は、大学入試の公平性と信頼性に対してあらためて問いを投げかけるものとなりました。
問題が発覚したのは、2025年2月に行われた一般選抜の前期日程の英語試験。小説を題材にした長文読解問題において、記述式の設問に対する採点基準にばらつきがあったことが原因でした。採点者によって解答の評価が異なっていたため、合否に影響する形となってしまったのです。大学によると、通常は複数の採点者が互いの基準をすり合わせ、評価の一貫性を確保する体制がとられているはずでしたが、今回はこの体制が不十分だったといいます。
採点ミスが判明するきっかけとなったのは、試験から約1カ月半が経過した4月上旬、ある学習塾の関係者が「大学が公表した解答例に誤りがあるのではないか」と指摘したことでした。大学側がその問題について再確認を行ったところ、確かに誤った解答例が使用されていたことが判明。その後、関連する記述問題全体に再チェックが行われ、採点のばらつきが複数の設問で確認されました。
こうした経緯を受け、大学は再度合否判定を行い、従来の基準で不合格としていた受験生2名について、実際には合格点を上回っていたとして追加合格を認めました。対象となった受験者にはすでに個別に連絡がなされ、謝罪とともに正式な合格通知が交付されています。
万が一、追加合格となった受験生が他大学に既に入学していた場合には、入学金や授業料などの経費補償も検討するとのことです。大学側は「合格者の進路に重大な影響を及ぼす問題であり、非常に重く受け止めている。今後は同様のミスが起きぬよう、採点体制の見直しと再発防止策を徹底していく」とコメントしています。
記者会見に出席した副学長は、「受験生とその家族、関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げる」と述べ、信頼回復に向けた取り組みを強調しました。
入試は人生を大きく左右する大切な機会であり、採点の公正さが揺らげば受験生の努力と未来を不当に扱うことになりかねません。今回のようなミスは決してあってはならないことです。大学側の真摯な対応とともに、受験制度全体の精度や信頼性を高める取り組みが今後ますます求められるでしょう。