いよいよ12月となり医学部受験が近づいてきました。今日は医学部受験生がするべき物理の対策について説明していきます。
共通テスト「物理」の攻略法と特徴
物理は図が命
共通テスト「物理」では、基礎的な問題が各分野から広く出題されることが特徴です。試験本番で高得点を狙うためには、特定の分野に苦手意識を持たず、すべての分野をバランスよく学ぶことが重要です。難易度自体は旧センター試験と大きく変わりませんが、グラフやイラストを活用した問題が多い傾向にあります。これらの問題では、グラフの縦軸・横軸の設定や、描かれたイラストの意図を正確に把握することが求められます。
概念を理解できれば物理は高得点で安定する
力学の問題では質点や剛体を扱い、熱力学では理想気体の概念を用いるなど、物理的なモデルに変換して解釈する力が求められます。また、共通テストの物理では複雑な数値計算はほとんど求められず、概念や基本法則の理解が試されます。そのため、他の科目に比べて安定して高得点が狙える傾向にあります。
特に、グラフや表の数値をもとに物理現象を解析する問題が多く、例えば2023年度の試験では、コンデンサーの放電過程に関する問題が出題されました。この問題では、電流と時間の関係を示すグラフを読み取り、蓄えられていた電気量や電気容量を推定する力が試されました。公式の丸暗記では通用しません。物理現象を深く理解し、論理的に考察する力が重要です。
効果的な学習方法
1. 公式を暗記するな
物理は、単に公式を暗記するだけでは対応が難しい科目です。公式が導出される過程や物理現象の本質を理解することが鍵となります。例えば、コンデンサーの放電グラフがなぜ特定の形状になるのかを説明できるようになることが重要です。そのため、教科書に載っている例題や解説を自分の言葉で説明できるまで深く理解しましょう。
2. 図とグラフの活用
物理の問題では、図やグラフを読み解く力が特に重要です。問題の状況を図に整理し、矢印で力や運動の方向を示すことで、問題文を視覚的に把握できます。また、グラフが提示された場合は、縦軸・横軸の設定に加え、傾きや面積が何を意味しているかを考えることが必要です。例えば、P-Vグラフでは面積が仕事を表すことがよく問われます。こうしたグラフの読み取り力を養うことが得点力の向上につながります。
3. 問題演習を通じた理解の深化
この時期になれば共通テストもしっかりと過去問や予想問題を解く必要があります。今はまだミスや出来ていないところがあっても許されますから過去問演習をする過程で自分の足りていないところを洗い出してください。物理法則や公式を改めて確認しましょう。公式を覚えるだけでなく、それがどのような状況で適用されるのかを意識すると良いでしょう。
分野別攻略法
1. 力学
力学は物理の基本ともいえる分野であり、まずは力のつり合いや運動方程式を正確に理解することが重要です。問題を解く際には、力や運動の方向を矢印で図示し、状況を整理しましょう。また、運動の初期条件や力の作用点を明確にすることが、正しい式を立てる鍵となります。
2. 電磁気学
電磁気学は公式が多いため、それらを正確に覚えることが第一歩です。加えて、問題中の回路図や磁場の状況を自分で図に書き込むことで、情報を視覚的に整理しましょう。例えば、電場中の荷電粒子の運動や、回路中の電位差を考える際には、情報を丁寧に書き出すことで解きやすくなります。
3. 熱力学
熱力学では、気体の状態変化や熱力学第一法則を正しく適用することが重要です。特に、P-VグラフやT-Sグラフの読み取り問題は頻出であり、グラフの形状が何を意味するのかを理解する必要があります。また、ピストンがある容器での状態変化については、力のつり合いを考えることがポイントとなります。
4. 波動
波動分野では、音や光の干渉、ドップラー効果などがよく出題されます。これらの問題では、波の進行や干渉の状況を自分で図に描き、光路差や波長の変化を整理することで正解にたどり着きやすくなります。
5. 原子
原子分野は、高校物理の最終段階にあたる分野であり、量子論の基本的な概念が問われます。プランク定数やエネルギー量子化の考え方に慣れる必要があります。また、他の分野との関連性が高いため、力学や電磁気学の知識と結びつけて考える柔軟な発想が求められます。
得点層別の対策
9割以上を目指す場合
医学部受験生で高得点を狙う人は、基礎を固めたうえで、二次試験レベルの問題にも挑戦しましょう。共通テストではスピードが求められるため、計算ミスや読み間違いを減らす練習をすることが重要です。また、過去問を活用して共通テスト独特の出題形式に慣れておくことも得点向上につながります。物理はうまくすれば満点も狙える科目です。しっかりと解きましょう。
8割以上を目指す場合
この得点層を目指す人は、共通テスト特有の問題形式に慣れることが重要です。過去問や予想問題を解き、間違えた問題については教科書や参考書に戻り、理解を深めましょう。特に、電磁気学や波動分野では、公式の理解が浅い部分を重点的に復習することが効果的です。
7割以上を目指す場合
医学部受験生は7割ではいけません。
試験当日の攻略法
本番では、大問の順番通りに解くのが基本ですが、迷った場合は一旦飛ばして、解ける問題から手をつけるようにしましょう。また、計算ミスや問題文の読み間違いを防ぐために、常に落ち着いて取り組むことが大切です。最後に、余った時間で解答の見直しを行い、小さなミスを減らす努力をしましょう。
総括
共通テスト「物理」は、基礎的な知識をしっかりと身につけることで高得点を狙いやすい科目です。グラフや図を活用した問題が多いため、日頃からこれらを活用した学習を心がけましょう。また、過去問や予想問題を繰り返し解くことで、形式に慣れ、得点力を向上させることができます。力学や電磁気学を中心に全分野をバランスよく学び、本番に備えましょう。