2025.10.30

共通テスト9割の壁:なぜ医学部志望者は苦しむのか?科目別ポイント

医学部受験 共通テスト9割の壁:なぜ医学部志望者は苦しむのか?科目別・ポイントと突破法

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医学部という高い志を持つ受験生の皆さん、そして、その挑戦を日々支えていらっしゃる保護者の皆様、こんにちは。医学部受験専門予備校のプレメディスタです。

「医学部合格は、二次試験が本番。共通テストは足切りさえ突破すれば良い」

一昔前はそう言われていた時代もありました。しかし現在、特に国公立大学の医学部を目指す皆さんにとって、共通テストは「ただの関門」ではありません。合格に向けた「ふるい落とし」の場となっているのです。

多くの医学部志望者が、この共通テスト対策で想像以上の困難に直面します。なぜ医学部を突破するほど高い学力を持つ受験生たちが、共通テストで苦しむのでしょうか?

この記事では、医学部受験における共通テスト対策の「ポイントの正体」を、科目ごとに深く掘り下げ、その乗り越え方を一緒に考えていきます。

なぜ医学部の共通テストは「困難」なのか?

まず全体像から見ていきましょう。医学部志望者にとってのポイントは、主に三つの点に集約されます。

1. 許容される「取りこぼし」がゼロに近い

医学部の共通テスト目標点は、ご存知の通り、多くの場合90%(810点)が一つの目安となります。低い大学でも85%前後が求められ、最難関校では92%、93%という水準での戦いになります。

一般的な学部の目標点が7割~8割程度であるのと比較すると、この「9割」という数字がいかに異常であるかが分かります。

これは、「苦手科目があってはいけない」ことを意味します。さらに言えば、「得意科目で満点を取るのは当たり前、やや苦手な科目でも9割近くで耐えなくてはならない」という戦いです。たった一つの大問での失点が、そのまま志望校の選択肢を狭めることに直結するのです。

共通テストは医学部受験生にとって難易度が低すぎる

共通テストはその名の通り”全員の共通”テストなので他学部の人も大勢受けます。結果、医学部受験生だけが受ける試験と比べると難易度が低くなってしまい、医学部受験をする人たちはミスが一切できない超高得点での勝負になってしまうわけです。

2. 全科目での「高速・高精度」な処理能力

医学部受験生は、基本的に5教科7科目(大学によっては6教科8科目)の対策が必要です。文系科目である国語や社会も、理系科目と同じ水準で高得点を求められます。

共通テストの最大の特徴は、「膨大な情報量」を「短い時間」で処理する能力を問う点にあります。二次試験で求められるような、一つの問題をじっくりと深く考える力とは、質の異なる能力が要求されるのです。

全科目において、この「速く、正確に解く」訓練を積み重ね、本番で安定して発揮し続ける精神力も必要となります。

3. 二次試験(個別学力検査)との「両立」の難しさ

これが最大の悩みかもしれません。医学部の二次試験は、他の学部とは一線を画す難易度の記述・論述問題が出題されます。

  • 共通テスト対策:「広く、浅く、速く」解く訓練。基礎知識の網羅と処理速度の向上。
  • 二次試験対策:「狭く、深く、じっくり」解く訓練。高度な思考力、記述力、応用力。
  • 私立医学部対策:医学部特有の問題が出題されることが多く専用の対策が必須

共通テストと二次試験のこの二つは、鍛えるべき能力が異なります。秋以降、「共通テスト対策に時間を割くと、二次の記述力が鈍る」「二次対策ばかりしていると、共通テストの速度感が失われる」というジレンマに陥ります。この時間配分の舵取りが、医学部受験の成否を分けると言っても過言ではありません。また多くの受験生は国公立医学部専願ではなく私立医学部も併願します。私立の医学部は出題が特殊で各大学専門の対策が必要になります。そのためタダたくさん勉強すればいいというわけではないため、対策が非常に難しいのです。

【科目別】共通テスト対策の「ポイント」徹底分析

では、具体的に各科目でどのような困難が待ち受けているのでしょうか。医学部志望者の視点で見ていきます。

英語(読解・リスニング)

医学部志望者は、二次試験でも難解な英語長文や英作文を課されるため、英語力そのものは高い水準にあります。しかし、それでも共通テストの英語は困難です。

  • ポイント(読解): 圧倒的な情報処理速度です。80分という時間内で、広告、図表、長文の論説文など、多様な形式の文章を約6,000語(旧試験の1.5倍近く)読み解かなければなりません。一文一文を正確に和訳している時間はありません。必要な情報を素早く見つけ出す「探索能力」が問われます。医学部志望者であっても、時間内に満点を取るのは至難の業です。
  • ポイント(リスニング): 集中力の維持と、一回読みの重圧です。特に後半の問題は、一回しか放送されないにもかかわらず、情報量が多く複雑です。医療系の話題が出ることもありますが、それ以上に、日常会話や講義内容を正確に聞き取り、複数の情報を整理する能力が求められます。ここで満点を確保できるかが、9割超えの鍵となります。
  • 対策の方向性: 日頃から英語の文章に大量に触れ、目を速く動かす訓練(速読)を積むこと。聞き取りは、毎日一定時間、共通テストの速度の英語を聞き続け、耳を慣らすしかありません。

数学(数学1A・数学2B)

数学もまた、二次試験との違いに苦しむ受験生が最も多い科目です。

  • ポイント: 試験時間(70分)に対する計算量の多さと、思考力を要する新傾向の問題の融合です。二次試験の数学は、一つの問題に30分かけてじっくり考えることができますが、共通テストは時間との勝負です。
  • 共通テスト特有の「会話形式の誘導」は、一見親切に見えますが、その意図を瞬時に読み取り、流れに乗れなければ、かえって時間を浪費します。また、日常生活に関連した設定など、問題文を読んで状況を把握する「読解力」も必要です。二次試験で難問が解けることと、共通テストで高得点を取れることは、必ずしも一致しないのです。
  • 対策の方向性: 基礎的な解法を「知っている」レベルから「瞬時に手が動く」レベルまで高めること。時間を計った演習を繰り返し、自分なりの時間配分を確立することが重要です。

物理

二次試験で物理を選択する受験生は、現象の根本的な理解が得意な場合が多いです。しかし、そこにも罠があります。

  • ポイント: 広範な分野の網羅性です。二次試験では「力学」「電磁気」が中心に出題される大学が多いですが、共通テストは「波動」「熱力学」「原子」からも満遍なく出題されます。対策が手薄になりがちな分野で知識の穴があると、即座に失点します。
  • また問題文の読み取りや、グラフの選択など、二次試験の重厚な計算問題とは異なる「素早い判断力」が求められます。計算間違い一つの重みが、二次試験以上です。
  • 対策の方向性: まずは教科書レベルの知識と公式を、全分野で完璧にすること。その上で、共通テスト形式の問題演習を通じて、知識の使い方を「速く、正確に」する訓練を積みます。

化学

化学は、医学部受験生にとって得点源にしたい科目ですが、共通テストでは最も知識の「網羅性」が問われる科目の一つです。

  • ポイント: 膨大な暗記量計算の速度の両立です。「理論化学」の計算は、短い時間で多くの計算をこなす必要があります。「無機化学」「有機化学」は、教科書の隅に載っているような細かい知識を問う正誤問題が頻出します。
  • 特に、複数の分野にまたがる融合問題や、実験結果の考察問題は、単なる知識の詰め込みだけでは対応できません。知識を体系的に整理し、素早く引き出す能力が求められます。
  • 対策の方向性: 知識の網羅が必須です。教科書や資料集を徹底的に読み込み、知識に穴がない状態を作ります。その上で、理論化学の計算練習を日々行い、計算速度を高めます。

生物

生物選択者は、二次試験で高度な論述問題に対応しているため、知識の深さが勝負を分けるでしょう。

  • ポイント: 知識の「精度」実験考察問題の「読解力」です。共通テストの生物は、非常に細かい知識の正誤を問う選択肢が多く、曖昧な理解では太刀打ちできません。
  • また、共通テストの華である「実験考察問題」は、長い問題文と多くの図表・グラフから、実験の意図を読み取り、論理的に結論を導き出す必要があります。二次試験の論述とは異なり、与えられた選択肢の中から「最も適当なもの」あるいは「誤っているもの」を過不足なく選ぶ、特有の訓練が必要です。
  • 対策の方向性: 教科書の精読が全ての基本です。本文だけでなく、脚注やコラム、図表の解説まで徹底的に読み込みます。考察問題は、多くの演習をこなし、問題作成者がどのような論理展開を求めているのかを掴む練習が重要です。

まとめ:困難なれど、乗り越える道筋はある

ここまで、医学部受験生がいかに厳しい共通テストの戦いに挑んでいるかを見てきました。

9割という高得点、全科目の網羅、そして二次試験との両立

これら全てを高い水準で達成することは、確かに困難です。しかし、毎年多くの先輩たちが、この困難な壁を乗り越えてきました。

大切なのは、早くからこの「ポイントの正体」を正しく認識することです。

  • 基礎の徹底: 秋までに、全科目の基礎を「知っている」から「使える」状態にすること。これが結果的に二次対策にも繋がります。
  • 速度の意識: 基礎が固まったら、常に時間を意識して問題を解くこと。
  • 戦略的な学習: 自分の失点パターンを分析し、知識の穴を埋めるのか、速度が足りないのか、戦略的に対策を立てること。

共通テストは、皆さんを医師として必要な「多角的な視野」「重圧下での正確な判断力」「継続的な努力」そして「ミスをしない医師としての適性」を養うための、最初の試練なのかもしれません。

保護者の皆様におかれましても、お子様がこのような厳しい戦いに挑んでいることをご理解いただき、点数だけに一喜一憂せず、体調管理と精神面での温かい支援を続けていただければと思います。

皆さんの努力が実を結ぶことを、心から応援しています。

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