医学部は国公立?私立?受験生が知っておきたい違いと選び方
医学部を目指すにあたって、多くの受験生や保護者が直面する大きな選択肢のひとつが「国公立にするべきか、それとも私立が良いのか」ということ。
学費や受験科目だけでなく、入試制度や将来の進路にも違いがあります。
この記事では、国公立医学部と私立医学部の違いをわかりやすく解説し、自分に合った選び方をするためのヒントをお届けします。
学費の違いはどれくらい?
一番わかりやすい違いが「学費」です。
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国公立大学の学費:6年間で約350万円(年間約53万円)
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私立大学の学費:6年間で約2,000〜5,000万円
例えば、東京医科大学では約2,200万円、川崎医科や東京女子医科大学では4,600万円を超えることもあります。
そのため、経済的な事情が進路選択に大きく影響するケースも少なくありません。
奨学金や自治体の支援制度を利用することもできますが、それでも負担の差は大きいです。
また全寮制を強いている医学部も4つほどあり学費とは別にお金がかかります。
入試科目と難易度の違い
国公立医学部の特徴
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共通テスト(5教科7科目)が必須
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個別試験では記述式問題中心
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英作文、証明問題など高い思考力が求められる
共通テストでは文系科目も必要なので、理系科目だけでは合格は難しくなります。
私立医学部の特徴
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基本は 英語・数学・理科2科目
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マーク式が中心だが、難関私大は記述あり
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小論文や面接を課す大学も多い
受験科目が絞られている分、私立のほうが戦略的に対策しやすいという声もあります。ただし競争率は非常に高く、簡単に合格できるわけではありません。
共通テストの負担増とリスク
2021年から始まった共通テストは、単なる暗記型では通用しない問題が増えています。センター試験のように二次試験メインで勉強し片手間でマークシート形式の対策をするだけでは得点できなくなりました。
特に、国語や社会は理系の受験生にとっては苦手分野になりがち。しかし国公立志望であれば避けて通れません。苦手分野でなかったとしても二次試験や私立で必須の英数理に比べて絶対にウエイトが減ってしまいます。共通テストでは深い理解が求められる問題が多いためしっかりと時間を割かなければ合格できないのです。
そして何より怖いのが「共通テストの失敗=国公立受験の終了」に直結してしまう点。プレッシャーは相当なものです。
出願と併願の柔軟さ
国公立大学
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前期・後期の 最大2校までしか出願できない
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出願時点で高精度な志望校の選定が必要
- 共通テスト対策が必須
私立大学
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大学ごとに試験日が違う
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複数校の併願が可能
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日程調整すれば広くチャレンジできる
確実に合格先を確保しておきたい人にとって、私立の併願制度は非常に魅力的です。
私立と国公立医学部は併願していい?
制度上は全く問題ありません。しかし私立医学部に合格できればいいという考えであれば国公立医学部は最初から対策しない方がいいでしょう。共通テストが大きな壁として存在していることに加えて大学によっては他学科と共通の試験問題が出題されます。これは私立医学部では考えられないことです。つまり私立医学部は医学部受験専門の対策が必須になるのに対し国公立医学部は普通の受験生と同じ問題で高得点を取るという異なる仕様のテストを受けることになります。
私立か国公立医学部どちらかに絞った方がいい
国公立医学部志望は塾選びをよく考えよう
それぞれ対策が異なるため両方に手を付けるのは得策ではないのは前述の通りです。特に国公立医学部のみを受験する場合は医学部専門の受験勉強をする必要がないため医学部専門予備校に通う必要すらないでしょう。プレメディスタでも国公立医学部専願の受験生は医学部受験コースではなく通常の学部を受けるコースに変更し、学費も安く抑えています。
私立医学部志望は医学部専門予備校がオススメ
私立医学部はならではの問題が出題されることが多いため偏差値ベースで志望を考えることは非常に危険です。しかし個人個人が自分に合った医学部入試を展開している大学を見つけるのは困難極まります。本来受かる実力がある子でも受験校をしっかり選定できないと受かりません。医学部受験は熾烈で数少ないチャンスを逃すと本当に多浪の無間地獄に落とされてしまいかねません。医学部受験を知り尽くしたプロの元で確実に合格を掴みに行くのがいいでしょう。
ただし塾選びには気をつけてください。昨今の不景気や少子化の煽りを受けて予備校も苦心しています。特に資金繰りが厳しい予備校は指導で本気を出さず手を抜いてわざと生徒を落としてもう一浪させようとする非人道的な医専もあります。ニチガクが共通テスト前に夜逃げしたことは記憶に新しいと思います。メディカルコースもあり多額の受講料を支払っていた家庭もあったそうで、心が痛みます。
自分の通う医専は大丈夫なのか、よく確認しましょう。
医学部卒業後のキャリアと大学の特色
地域密着の医師になりたいなら
→ 地元の国公立大学がおすすめ
在学中から地域医療の実習が多く、地元医療機関とのコネクションも築きやすいです。
開業医を目指すなら
→ 私立医学部出身者のネットワークが強い
卒業後の横のつながりや、経営に関する情報交換などの面で私立は有利。
研究職・大学病院勤務を目指すなら
→ 旧帝大や研究拠点を持つ国立大学へ
新薬開発や基礎医学の研究機会が多く、研究医としてのキャリアを築きやすいです。
入試問題の内容にも違いが
私立医学部の多くは受験者数が非常に多いため、マークシート式を中心に、採点効率を重視した問題が多くなります。
一方、国公立医学部は記述式中心で、採点にも時間をかけており、出題内容も思考力・記述力を重視しています。
特に英作文や理科の論述などは、模範解答のような完成度を求められるケースもあります。
国公立か私立か、どうやって決める?
「どちらが良い」というよりは、「自分に合っているのはどちらか」で考えるのが大切です。
✔ 学費を抑えたい → 国公立
✔ 複数の大学を併願したい → 私立
✔ 地元で働きたい → 地元国公立
✔ 研究職を目指す → 旧帝大などの国立大
✔ 将来開業したい → 私立大学
また、自分の現在の学力や得意科目、苦手科目も考慮に入れて選ぶとよいでしょう。
まとめ:後悔しない医学部選びをしよう
国公立医学部と私立医学部は、学費・受験方式・カリキュラム・卒業後の進路など、さまざまな面で違いがあります。
それぞれの特徴を正しく理解し、自分の価値観や将来のビジョンに合った進路を選ぶことが大切です。
医学部受験は長く厳しい道のりですが、自分に合った目標を持ち続けることで、モチベーションにもつながります。
納得のいく選択をして、夢への第一歩を踏み出してください。