医学部受験における英語の役割と効果的な学習方法
医学部受験において英語は極めて重要な科目であり、その重要性は他学部を凌駕するといっても過言ではありません。ここでは、なぜ英語が医学部受験において重要なのか、そしてどのように学習を進めれば良いのかを具体的に解説します。
1. 医学部受験における英語の特徴
1.1 配点の高さ
医学部の入試では、英語の配点が非常に高く設定されている場合が多く、全体の合否に大きな影響を及ぼします。他の科目も重要ではありますが、特に英語はその影響力が大きいと言えます。
- 相対的な配点の高さ
長文読解や文法問題、英作文といった各分野において配点が高く、一問のミスが大きな痛手となります。中でも長文読解は特に重視される傾向にあり、これが全体の得点の6割以上を占める大学も存在します。ミスを防ぐためには徹底的な演習が欠かせません。 - 問題形式の特徴
医学部では「内容一致問題」「文法選択」「自由英作文」など幅広い問題形式が出題され、いずれも高い正確性が求められます。 - 医学論文からの出題
多くの大学の英語は医学論文の引用から出題されます。そのため医療英語を理解していないと文章が理解できません。早慶レベルの英語がスラスラ読める人でも医学部の英語はそれ用の対策をしないと解くことができない内容になっています。例えばfireは単純な火という意味でなく燃焼として使われたりします。そういったこと理解していないと意味が分からないというわけです。
1.2 医学部入学後・医師としての英語の必要性は?
受験を突破した後も英語の重要性は増す一方です。
- 大学での学習
医学用語や解剖学の専門用語は、英語と日本語の両方で学ぶ必要があります。医学部の講義や実習で用いられる資料の多くが英語で記載されており、英語が苦手な学生は遅れを取る可能性があります。 - 医学界での英語の役割
世界の医学論文の多くは英語で発表され、新しい医療技術や知識はまず英語で広まります。これを迅速に理解できる能力は、優れた医師として活躍する上で必要不可欠です。
医学をリードしているのはアメリカであり公用語でもある英語で論文が出されているため英語がからきしでは話になりません。日本としても医師の英語力が下がると日本国の医療レベルの停滞につながるため英語教育に力を入れています。 - 国家試験やキャリアの広がり
医師国家試験でも英語が出題されるようになりつつあり、将来的にはその比率が高まる可能性があります。また、英語力があれば国際的な学会での発表や海外での医療活動など、キャリアの選択肢が広がります。
1.3 他学部との違い
医学部の英語試験には、以下のような特徴があります。
- 難解な単語や文法は少ないが文章量が多い
医学部の入試問題は長文読解が中心であり、文章のボリュームが大きい点が特徴です。医学に関する背景知識を必要とする問題もあるため、日頃から医療ニュースや医療系のコラムに触れておくことが推奨されます。
医学に関する文章題が多いためいわゆる通常な記述模試などは役に立ちません。様々な医学部の過去問を解くことが一番の対策になります。 - 医療用語の頻出
医療関連の英単語が多く登場します。これらは試験をスムーズに進める上で知っておくと有利です。
2. 医学部英語の出題傾向
国公立医学部と私立医学部でもそれぞれ違いがあります。細かく言えば私立医学部も大学ごとに異なりますが今回は大きく二つに分けます。
2.1 私立大学医学部
私立大学の医学部では、正誤問題や並び替え問題、長文読解が中心です。過去問を多く解き、各大学の出題形式に慣れることが重要です。
- 特徴的な出題形式
大学ごとに問題形式が異なるため、志望校の過去問を繰り返し解いて形式に慣れましょう。
大体5~10年分解くとよいでしょう。医学部は医学部の特徴をつかむために過去問が大いに役立ちます。たくさんの年度の問題を解いても損にはならないでしょう。
2.2 国公立大学医学部
国公立大学の医学部では、英作文や記述式問題が多いのが特徴です。
- 自由英作文
難解なテーマや論述形式の問題が多く出題されます。日本語を簡潔に整理し、正しい英語で表現する力が求められます。 - 長文読解
医療や自然科学に関連したテーマの長文が頻出します。論旨を正確に把握し、要約する力が重要です。
3. 英語学習のポイント
英語は一夜漬けで得点を伸ばすことが難しい科目です。以下の学習方法で基礎を固めながら、実践力を磨いていきましょう。
3.1 英単語・熟語・文法
- 単語の習得
医療関連の専門用語に加え、大学受験の基本単語を確実に暗記しましょう。単語帳を1冊完璧にすることを目指します。 - 熟語・句動詞
特に句動詞は重要です。「look after(世話をする)」や「get over(乗り越える)」のような基本句動詞を徹底的に学びましょう。 - 文法の復習
1冊の文法書を徹底的にマスターすることがポイントです。
3.2 長文読解
- 基礎からのステップアップ
共通テストレベルの問題集から始め、難関大学向けの長文に挑戦します。精読を繰り返し、指示語や文脈からの推測力を鍛えましょう。 - 医療系のテーマに慣れる
iPS細胞や臓器移植、感染症など、医療や倫理に関するテーマを含む文章を多読しましょう。
3.3 英作文
- 基本に忠実な表現
難しい単語や複雑な構文に頼る必要はありません。中学レベルの単語と基本文法で正確な文を書けるように練習しましょう。 - テンプレートの活用
よく使う表現や構文をストックしておき、自由英作文に活用します。
医学部受験英語のまとめ
医学部受験において英語で成功するためには、計画的な学習が欠かせません。
- 計画的な基礎固め
単語や文法を完璧にし、土台を作ります。 - 実践的な演習
過去問を徹底的に解き、時間配分を意識して実践力を高めましょう。 - 医療系英語への慣れ
医療に関する英単語やテーマに触れ、医学部特有の問題形式に対応できるようにします。
英語力は医学部入試を突破するための重要な鍵であり、医師としてのキャリアを築く上でも必須のスキルです。早い段階からしっかりと学習を進め、長期的な視点で力を蓄えていきましょう。