2026.03.21

医師国家試験の対策がうまい医学部、下手な医学部

先日2026年3月16日に「第120回医師国家試験」の結果が厚生労働省より発表されました。それを受けて今回は医師国家試験について深堀していきましょう。

医師国家試験の対策がうまい医学部

医学部選びで気になるのは、入学の難しさよりも、6年間で無理なく医師国家試験までたどり着けるかどうか。という議論があります。

 

いや、一番は入学の難しさだし、次は学費だろ。○○大は医師国家試験の合格率が高いから進学したい!なんてなかなか聞かな…

実際、国家試験の合格率が高い大学には、授業だけでなく補講、面談、模試、学内試験、教員による伴走などを組み合わせて、大学全体で支える色合いが強いところがあります。例を挙げると、埼玉医科大学は補講や面談、サポーター制度、模試などを継続的に行っていると公表しており、「国試に強い大学」は学生の気合いだけに頼っていないことが分かります。 埼玉医科大学㏋

第120回医師国家試験の合格率上位には、自治医科大学、順天堂大学、国際医療福祉大学、北海道大学、福島県立医科大学、筑波大学などが並びました。私立、国立、公立が混在しているので、「この設置形態だから強い」と単純には言えず、教育体制の差が結果に表れていると見るほうが自然です。

大学の偏差値と医師国家試験の合格率は比例するの?

河合塾の医学部難易度表を見ると、医学部の偏差値帯はかなり幅があります。一方で、医師国家試験の合格率上位校には、最難関大学だけでなく中堅校も入ります。つまり、入試でどれだけ難しいかと、卒業時点で国家試験にどれだけ強いかは、きれいには一致しません。偏差値は入口の数字で、国家試験合格率は6年間の教育と選抜の結果だからです。 Kei-Net(河合塾)鶏口牛後といったところでしょうか。今時牛後な医学部がどこにあんねんという話は置いといて

医師になるならどこ大でも良い・本人の頑張り次第

少し極端に聞こえるかもしれませんが、医師になるという一点で見れば、最終的に必要なのは医師国家試験に合格して免許を得ることです。大学名そのものが免許になるわけではありません。もちろん、大学ごとに環境や人脈、学閥の差はありますが、臨床の現場に立つ入口では、国家資格を持っていることが大前提になります。入学時のブランドだけで将来が決まる世界ではありません。

東大、京大でも医師国家試験に落ちる奴は落ちる

医師としての公的な確認で中心になるのは、大学名より医籍登録です。厚生労働省の医師等資格確認検索でも、検索に使うのは氏名、性別、生年月日、登録番号、登録年月日で、大学名は主要項目ではありません。医師免許の世界では、「どこの大学を出たか」よりも、「国家試験に合格し、登録された医師であるか」が基準になります。だからこそ、大学選びは見栄より相性と制度で差がつく、という見方のほうが実態に近いです。厚生労働省 医師等資格確認検索

偏差値順に国家試験合格率がなっていないことからもわかりますが、医学部受験のときにみんなが気になっている偏差値が高い、知名度が高い、学費が安いなどの要素は関係ないのです。どこ大でも最終到達点は同じ。中に入ってから一生懸命勉強した奴が医師になるのです。

実際患者さんから○○先生はどこ大なんですか?とかナースからあの人○○大だからね~みたいな話をされることはほぼありませんよね。医学部の序列って一般の人はほとんど知らないし、だいたい最近の序列は学費次第でコロコロ変わるので素人がきいてもわからないのです。

医師国家試験対策をする大学と学生任せのところ

医師国家試験は、個人戦に見えてかなり団体戦でもあります。早い学年から学力のつまずきを拾う大学、6年生に教員が深く関わる大学、学内試験や補講を何重にも置く大学では、同じ学生でも結果が安定しやすくなります。逆に、制度上は同じ医学部でも、フォローの厚さが違えば、かなり差が出ます。

大学によって対策に差があることは確かです。ただそれを理由に大学を選ぶようなことはしなくていいでしょう。

受かりそうもない学生を留年させる大学も。

医学部では、6年生まで進んでも全員がそのまま国家試験を受けるわけではありません。進級率と卒業率の差が大きい大学について、「国家試験合格が難しい学生に、もう1年学ぶ期間を設けるため卒業基準を厳しくしている可能性」があります。

かなり厳しい仕組みに見えますが、昨年2025年の第119回医師国家試験では新卒合格率95.0%に対し、既卒合格率は59.0%でした。既卒になると合格率が大きく落ちる以上、大学が卒業判定を慎重にする理屈は、数字の上では理解できる面があります。 既卒の合格率は低いのである種留年させるのは正しいのかもしれません。

国立大学 2026年度 医師国家試験合格率表

大学名 新卒 合格率 既卒 合格率 総数 合格率
北海道大学 100.00% 75.00% 98.30%
京都大学 100.00% 58.30% 95.80%
弘前大学 99.10% 45.50% 94.40%
東京大学 99.00% 66.70% 96.50%
秋田大学 98.30% 66.70% 96.80%
群馬大学 98.30% 40.00% 95.90%
福井大学 98.10% 0.00% 96.40%
信州大学 98.10% 66.70% 95.50%
滋賀医科大学 98.10% 42.90% 94.80%
筑波大学 97.80% 80.00% 97.20%
旭川医科大学 97.60% 42.90% 93.40%
愛媛大学 97.40% 30.00% 91.70%
長崎大学 97.30% 42.90% 95.00%
東京科学大学 97.20% 83.30% 96.50%
鳥取大学 97.00% 71.40% 95.90%
新潟大学 96.80% 36.40% 92.00%
岐阜大学 96.70% 40.00% 93.70%
浜松医科大学 96.60% 66.70% 95.80%
高知大学 96.60% 36.40% 90.40%
大阪大学 96.50% 83.30% 95.80%
三重大学 96.10% 33.30% 94.70%
山梨大学 96.00% 66.70% 93.40%
岡山大学 95.90% 80.00% 95.50%
広島大学 95.80% 75.00% 95.00%
名古屋大学 95.60% 42.90% 92.60%
千葉大学 95.60% 33.30% 92.40%
熊本大学 95.40% 27.30% 90.40%
山口大学 94.90% 50.00% 89.20%
東北大学 94.70% 57.10% 92.50%
九州大学 94.50% 33.30% 90.90%
大分大学 94.10% 40.00% 89.10%
山形大学 94.00% 50.00% 91.10%
神戸大学 93.80% 50.00% 91.20%
琉球大学 93.70% 23.80% 84.10%
富山大学 93.30% 28.60% 89.30%
徳島大学 92.50% 71.40% 91.20%
宮崎大学 92.50% 75.00% 91.20%
金沢大学 92.40% 20.00% 89.50%
佐賀大学 91.50% 40.00% 88.00%
島根大学 91.40% 41.70% 87.60%
鹿児島大学 91.30% 40.00% 88.00%
香川大学 90.90% 54.50% 87.20%

 

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