学費値上げで偏差値低下:東京女子医大の現状と展望
東京女子医科大学の学費は、非常に高額であることで知られています。入学初年度には入学金や授業料、施設設備費などを含めて約1145万円が必要であり、2年目以降も年間約695万円かかります。6年間の総額は約4621万円に達し、最も学費が高いとされる川崎医科大学の約4700万円に匹敵します。一方、国立大学の医学部の学費は文科省の規定で年間53万5800円と定められており、6年間の総額は入学金を含めて約350万円です。このように、私立と国立の医学部では学費に大きな差があります。大学病院は赤字を出しやすい組織であるため大きな財源がなければ一気に経営が傾いてしまいます。その資金繰りを学生から巻き上げることでになっているのが東京女子医大というわけです。
学費と偏差値の関係
医学部の偏差値と学費の高さには逆の関係が見られます。東京女子医大は以前、中位の私立医学部として位置づけられていましたが、度重なる不祥事と2021年度の大幅な学費値上げが重なり、現在では下位のランクにまで偏差値が下がっています。それでも女子医で医師になりたいという強い意志を持つ受験生は一定数存在します。100年の歴史を持ち世界でも珍しい女性専用の医学部ということで一定の需要が存在し続けます。
不祥事の発覚とその影響
不祥事の発覚に伴い、山上英明弁護士を委員長とする第三者委員会が設置されました。2日には第三者委員会の調査報告書が公表され、5日には教職員向けの説明会が開催されました。この説明会で、丸義朗学長は辞任の意向を示し、岩本絹子理事長も「辞任は避けられない」と報じられています。3月には警察による家宅捜査も行われ、大学のイメージは大きく損なわれています。
入試への影響はあるのか
このような状況下で、東京女子医大医学部の入試にどのような影響があるかが注目されます。しかし、女性医師育成の100年以上の伝統を持つ東京女子医科大学の医学部は、その固有の魅力から大きな影響はないと考えられています。女子だけの医学部であり、学内には多くの女性医師がメンターとして存在します。このため、他大学と比べても圧倒的に多くの女性医師が指導を行っており、卒業後も強固なネットワークを築くことができます。
志願者の動向
実際、今春の一般選抜では募集人員約67名に対し、959名が志願し、志願倍率は14.3倍でした。正規合格者は募集人員を32名超える99名で、繰り上げ合格者は5名でした。予備校関係者は、他の医学部に合格した受験者が少ないことが繰り上げ合格の少なさに繋がっていると考えていますが、東京女子医第一志望という受験生が多いことも理由の一つと考えられます。
学費の高さと独自の魅力
東京女子医科大学医学部の学費は確かに高額ですが、それに見合う独自の魅力を持っています。卒業後には多くの仲間と支え合いながら医師としてのキャリアを築くことができるため、女子医に入りたいと強く感じる受験生が多いのも納得できます。今回の一連の「疑惑」は大学の経営陣に向けられたものであり、医学部の教育とは無関係です。
まとめ
東京女子医科大学は、学費の高さと不祥事による影響で偏差値が低下していますが、その独自の魅力と伝統は依然として強固です。女性医師を目指す受験生にとっては、多くのメンターや強力なネットワークが大きな魅力となっています。学費の高さを理由に敬遠されがちな面もありますが、それでもなお多くの志願者が集まる理由は、この大学が提供する環境とサポート体制にあると言えるでしょう。