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1970年代に設立された新設医科大学について:その背景と影響
新設医学部とは
1970年代に設立された医学部群を指す。田中角栄総理時代に端を発した一県一医大構想をきっかけに国立、私立ともに医学部が新設されました。34校の医学部が設立され医療業界に大きな転換点となりました。しかしすでに半世紀近く前のことなので今の時代に新設というくくりをされてもピンとこないのです。しかしこの新設医学部は旧来存在した医学部よりも学閥や卒業の点で苦労するといわれています。今回は私立の新設医学部にスポットを当てて考えていきましょう。
新設医科大学設立の背景
1970年代は、日本の医療政策において大きな転換期でした。この時期、多くの新設医科大学が設立され、「新設医科大学」と呼ばれる大学群が形成されました。これらの大学は、日本の高度経済成長に伴い、増大する医療需要に対応するために設置されました。医師の供給を増やし、特に地方や医療が行き届きづらい地域での医療を強化することを目的としていたのです。
1960年代初頭、厚生省は国民皆保険の達成とともに、無医村解消を含む医療体制の充実を目標に掲げ、医学部定員の拡大を求めました。1969年には医学部の定員が合計4,040人に増員されましたが、それだけでは医師不足を完全に解消することはできませんでした。1970年、厚生省は「1985年までに人口10万人当たりの医師数を150人程度にするために、医学部定員を6,000人程度に増やす」ことを目標に、さらなる増設を文部省に依頼しました。
1970年代に設立された医学部一覧
1970年代の10年間で、新たに34校の医学部が設立され、これらは日本全国に点在し、現在の82校ある医学部の約41%を占めています。これにより、日本の医学教育は地方を含む全国に広がり、医療アクセスが改善されました。この時期の代表的な新設私立大学には以下の大学があります:
- 自治医科大学:地域医療に重点を置き、全国の都道府県が共同で設立。地域での医療を支える人材を育成する役割を担います。
- 産業医科大学:日本唯一の産業医養成を目的とした大学で、労働者の健康管理を担う医師を育成しています。
- 北里大学、杏林大学、帝京大学、藤田医科大学、兵庫医科大学、川崎医科大学など。
これらの大学は設立当初から医療資源が不足しがちな地域に設置され、医師を地域に定着させることを目指しました。
新設医学部にも異なる背景
既存の大学に医学部ができたパターン(帝京、近畿など)もともと医療系の大学に医学部が付随したパターン(杏林、藤田)医療機関大学として完全新規で設立したもの(北里、川崎医科など)と3パターンあります
新設医科大学の特色と序列
1970年代の新設医科大学は、「新設医大」と呼ばれ、医学部の序列の中で3番目のグループに位置付けられています。これは、設立の背景が地域医療の充実や全国的な医師供給の増加に根ざしているためです。これらの大学の序列が進路に与える影響については、以下のようなポイントが挙げられます
卒業難易度が高い
一般的に卒業難易度は新設医大の方が高いと言われています。留年率とは一概に比較ができないので難しいポイントですが新設医学部はその経緯からOB、OGが教授であるケースが非常に少ないです。母校愛を持っていない教授が多いことが多く生徒に寄り添う気持ちが少なかったり、教授自身が別大学からのパイプ役としての役割を担っており大学内で○○大出身の教授は良い悪いの評価を上げることに躍起になっています。生徒がないがしろになってしまって大学内で苦労を強いられることがあります。(生徒の成績を伸ばすために必要以上に負荷をかけるなど)もちろん一概には言えません。新設医学部の方が入学難易度が低いため国家試験通過までに乗り越える障壁が高いだけだとも言えます。複合的な要因がありますが中に入ってからキツイということは間違いないでしょう。
病棟勤務医を目指す場合
ここからは卒業後の話になりますが序列上位の医学部は関連病院が多く、就職時の選択肢が豊富です。新設医科大学でも、多くの卒業生が病院勤務を希望する場合は選択肢はありますが、序列上位大学ほどのネットワークは期待できないことがあります。戦前から100年以上の歴史がある大学と半世紀しか歴史のない大学とを比較したら差があることは当然とも言えるでしょう。
研究医を目指す場合
研究を志すのであれば、序列上位の医学部が有利です。これは、助成金の配分が多く、研究環境が整備されているためです。新設医科大学でも研究は可能ですが、上位校と比べると研究資源やポストの充実度に差があることが一般的です。また新設医学部には別の上位医学部からのパイプが通じてしまっていることが多く今更新設医学部の人を受け入れる体制が整っていないケースがあります。大学側もそういったパターンを想定していないため研究医を目指したいという人をうまくサポートできない可能性があります。
開業医としてのキャリア
新設医科大学の出身であっても、開業医を目指す場合には序列がほとんど影響しません。開業医は学閥や大学名に関わらず、地域での医療提供に専念できるためです。開業医になるためには大学の名前ではなくその人個人の経営手腕が問われるということです。患者は医者の大学名までみて通う病院をきめません。御三家も新設もなんのこっちゃわからない人と仕事をしていくわけですから開業医となれば必要なものは自分の実力で大学名は関係なくなります。
その他の重要なポイント
医師国家試験の合格率
医学部を選ぶ際には、医師国家試験の合格率も重要な指標です。新設医科大学でも多くは90%前後の合格率を維持していますが、一部の大学ではこれを下回ることもあります。国家試験対策が十分に整っているかどうかは、受験生にとって大きな関心事となります。しかし合格率が高すぎる場合も怪しいと思ってください。合格率を上げたいがために受かりそうにないと判断した生徒を留年させているだけのケースがあります。もしかしたら国家試験を受けたら受かるかもしれないのに率が下がりそうだからチャレンジさせないという学生側からすれば大変迷惑極まりない大学も存在します。
進級の難しさ
医学部は一般的に進級が厳しいですが、新設医科大学では特に進級が厳格な大学も存在します。進級が困難な大学で留年すると、学費の負担が増える可能性がありますので、進級制度についても事前に調べておくことが大切です。医学部は最終的に国家試験という同一の関門を乗り越えなければならないためそこに到達する人が少なくなる下位の大学ではある種当然ともいえます。
卒業後の進路と立地条件
卒業後の進路は、大学が保有する関連病院や医局の影響を受けやすいです。また、大学の立地条件も日常生活や学業に影響します。都会にある大学は、勉強と生活のバランスが取りやすい一方で、地方大学は落ち着いて学ぶことができる環境を提供します。自分の好みに合った環境を選ぶことが、医学部での充実した生活に繋がるでしょう。
また医学部は医師の首都圏集中が問題となっているため都市部外の大学から都市部にUターン就職することは通常学部よりも難しくなっています。不可能ではありませんがその点は肝に銘じておきましょう。
まとめ
1970年代に設立された新設医科大学は、日本の医療供給を拡大するために戦略的に設立されました。これらの大学は、地域医療に大きな貢献をしており、地方における医療環境の改善に役立っています。受験生にとっては、大学の序列だけでなく、自分の目指すキャリアや学習環境を考慮したうえで最適な大学を選ぶことが成功への鍵となります。