2026.03.19

第120回医師国家試験|合格率91.6%:医学部の差


第120回医師国家試験|合格率91.6%、今年の結果と知っておきたい数字の話

2026年3月16日、厚生労働省から第120回医師国家試験の合格者が発表されました。受験者9,980人のうち合格したのは9,139人。


第120回医師国家試験の合格率は91.6%――昨年よりわずかに低下

全体の合格率は91.6%でした。前回(第119回)の92.3%と比べると、0.7ポイントの低下となっています。合格者数は9,139人で、前年より347人少なくなりました。

男女別に見ると、男性の合格率は91.1%、女性は92.4%。合格者9,139人のうち、女性は3,410人で全体の37.3%を占めています。年々女性医師の割合が高まっていることが、こうした数字にも表れています。


新卒合格率100%は3校

大学別の結果で注目されるのが、新卒合格率100%を達成した3校です。北海道大学・自治医科大学・京都大学の3校が、その名前を並べました。

全体の合格率ランキングで上位に入ったのは、自治医科大学(100.0%)、順天堂大学(98.5%)、国際医療福祉大学(98.4%)など。一方で、福岡大学(81.3%)、日本大学(83.6%)、金沢医科大学(84.8%)といった大学は、全体平均を大きく下回る結果となりました。


合格率が高い=いい医学部ではない?

「合格率が高い大学=いい医学部」と単純に考えてしまいがちですが、実はそこには少し複雑な背景があります。

多くの大学では、医師国家試験の合格率を維持するために、6年次の卒業試験(卒試)で不合格とする学生を増やしたり、留年させたりすることで受験者数を意図的に絞り込むという対応をしています。つまり、試験を受けられる段階に達した学生だけが受験するため、合格率が高く見える構造になっているのです。

医学部を選ぶ際に本当に参考になるのは、表向きの「合格率」だけではありません。「ストレート合格率」(留年なく6年間で卒業し合格する割合)、「卒業保留者数」(卒試で引っかかる人数)、「低学年次からの留年者数」なども合わせて確認することが、より実態に近い情報を得ることにつながります。

厚生労働省が公表している「学校別合格者状況」では、出願者数と受験者数の両方が確認できます。この二つの数字の差が大きい大学ほど、卒試で多くの学生が引き止められていることを意味します。


9割以上の医学生が合格する

医師国家試験は「難しい」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、実態としては医学部を卒業した学生の9割以上が合格しています。特に新卒者に限ると94.7%という高い水準です。弁護士試験や公認会計士試験などと比べると、合格率は非常に高い試験と言えます。

医師国家試験は簡単なの?

医師国家試験が簡単というわけではありません。熾烈な医学部受験を勝ち抜き、留年、放校などの恐怖を潜り抜けた猛者しか到達しない試験なので合格率が高い試験となっているのです。例えば自動車免許の合格率は約70%ですがこれを見て運転免許証を取るのって難しいんだ!とは思いませんよね。たんに勉強してないから落ちたという人がいるだけ。車の教習場に入るのに何年も勉強、入ってからも6年間は勉強と実習、なんて厳しさじゃないですよね。運転免許証をとるのに受けてる母体の賢さが違うのです。つまり割合では判断できません。


新卒合格率94.7%、既卒合格率54.6%――この差が示すもの

今回の試験で際立ったのが、新卒と既卒の合格率の大きな開きです。

  • 新卒合格率:94.7%
  • 既卒合格率:54.6%(前年59.0%から4.4ポイント低下)

卒業後に時間が経つほど、合格率はさらに下がっていきます。卒業1年目(既卒1年目)は71.9%でしたが、2年目には42.7%、3年目は36.8%、5年目になると17.6%という厳しい数字になっています。

この数字が物語っているのは、医学部在学中に留年や進級困難を経験した学生は、国家試験でも苦戦しやすいという傾向です。医学部の6年間をスムーズに進んだ学生とそうでない学生の間には、学習の定着度や習慣において大きな差が生まれやすく、それが国家試験の結果にも反映される構造になっています。


国家試験対策は大学によって大きな差がある

医師国家試験への準備体制は、大学によって大きく異なります。

国試予備校と正式に提携し、5・6年次の学生に対して体系的な対策プログラムを組んでいる大学がある一方で、基本的には学生の自主性に委ねるスタンスをとる大学も少なくありません。大学側がどれだけ手厚くサポートしているか、あるいは自分で外部の予備校を活用する必要があるかは、大学選びのひとつの観点にもなっています。


今回の第120回医師国家試験では、9,139人の新たな医師が誕生しました。合格した方々にとって、この数字は長い勉強の日々が実を結んだ証でもあります。そして今まさに医学部を目指している方にとっては、こうした結果の背景にある構造を知っておくことが、将来の大学選びや学習への向き合い方を考えるうえで、ひとつの手がかりになるかもしれません。


参考資料: 厚生労働省「第120回医師国家試験の合格発表」学校別合格者状況(PDF)

私立医学部 総数 合格率 新卒 合格率 既卒 合格率
自治医科 100.00% 100.00% 100.00%
順天堂 98.50% 99.20% 83.30%
国際医療福祉 98.40% 99.20% 83.30%
慶應義塾 97.30% 98.10% 80.00%
産業医科 96.20% 98.00% 33.30%
東京慈恵会医科 95.60% 96.10% 85.70%
東京医科 95.10% 97.50% 75.00%
日本医科 94.80% 96.40% 71.40%
大阪医科薬科 94.70% 96.10% 75.00%
昭和 93.70% 95.90% 66.70%
帝京 92.50% 95.10% 60.00%
杏林 92.30% 96.40% 58.30%
藤田医科 92.30% 94.40% 50.00%
北里 91.90% 95.70% 56.30%
愛知医科 91.90% 95.20% 56.30%
関西医科 91.90% 95.50% 46.20%
聖マリアンナ医科 91.80% 92.40% 85.70%
東京女子医科 91.60% 96.10% 33.30%
福岡 91.10% 95.20% 50.00%
久留米 90.50% 95.90% 47.40%
兵庫医科 90.10% 93.30% 53.30%
東邦 90.00% 93.10% 63.60%
東海 89.20% 92.30% 64.70%
近畿 88.70% 91.40% 50.00%
防衛医科校 87.80% 89.40% 60.00%
岩手医科 87.30% 91.50% 63.60%
埼玉医科 86.80% 89.70% 71.40%
川崎医科 86.60% 94.40% 52.40%
日本 84.70% 90.70% 40.90%
獨協医科 82.20% 85.90% 59.10%
獨協医科 82.20% 85.90% 59.10%
金沢医科 80.70% 88.50% 52.00%

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