2025.05.24

近畿大学医学部:狭山から堺へ──新キャンパスへの大規模移転

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地域と共に未来を築く──進化する近畿大学医学部の新たな挑戦

かつて「私学の雄」とも称された近畿大学は、関西圏を代表する総合大学の一つとして長年の歴史を歩んできました。その中でも、1974年に創設された医学部は、同大学において特に重要な役割を果たしてきた学部の一つです。約半世紀にわたって医療人材を育て、地域医療の最前線を支えてきたこの医学部が、2025年11月、画期的な変化を迎えることになります。

狭山から堺へ──新キャンパスへの大規模移転

現在の医学部キャンパスが位置するのは、大阪府狭山市。最寄りの金剛駅や泉ヶ丘駅からバスで15分程度かかる場所にあり、通学や来院において若干のアクセスの不便さが否めませんでした。

そこで近畿大学は、より利便性の高い立地への移転を決断します。新たな拠点となるのは、大阪府堺市の泉北高速鉄道・泉ヶ丘駅前。駅から直結する歩行者用デッキが整備され、キャンパスまでは屋根付きでスムーズなアクセスが可能になります。まさに、通いやすさと快適性の両立が図られた新キャンパスの誕生です。

この移転は、近畿大学創立100周年と医学部設立50周年の記念事業の一環としても位置付けられています。もともとは2024年春に移転が予定されていましたが、アスベストの発見や新型コロナウイルスの影響により工期が遅れ、結果的に2025年11月へと延期されました。

未来志向の医療教育と研究拠点へ

新キャンパスの敷地面積はおよそ11万6千平方メートル、建物は地下1階・地上10階建て、延べ床面積は14万7千平方メートルを超える規模となります。キャンパス内には先進医療を担う大学病院を併設し、合計34の診療科を展開。がん、心疾患、脳血管障害といった高度医療領域において、研究と診療が融合した実践的な医療教育を行う拠点が整備されます。

さらに、この移転に合わせて2026年4月には「看護学部(仮称)」も新設される予定です。これにより、医療系の学部同士の連携教育が実現し、医師と看護師の連携力を学生時代から自然に身につけられるカリキュラムが期待されています。

地域と融合する“開かれたキャンパス”

新キャンパスで特筆すべきもう一つのポイントは、その“開放性”です。近畿大学は新たな医療キャンパスを、地域住民との共生を重視した設計としました。敷地周囲にはフェンスや塀を設けず、周辺の公園や緑道と自然につながる構造としています。敷地内を貫く遊歩道は、近隣住民が通勤・通学・散歩など自由に利用できる空間です。

このような「地域に開かれた大学づくり」は、泉北ニュータウンの再生にもつながる取り組みです。ニュータウンはかつての人口増加期の象徴でしたが、現在は高齢化や人口減少の問題に直面しています。そこに近畿大学の新キャンパスが加わることで、教職員・学生・患者らおよそ5,000人が日々行き交う活気ある街へと再生する期待が寄せられています。

教育の質と国家試験の高い合格率

近畿大学医学部は、単なる移転にとどまらず、教育内容でも全国的に評価される体制を築いています。少人数で構成されたグループによるディスカッション形式の授業や、自主的な学習を支援するテュートリアル教育を採用することで、現場で求められる実践的な思考力・対応力を育てています。

その成果は、医師国家試験の合格率にも現れており、特に新卒の合格率は全国でも高い水準を誇ります。今後、設備面・教育面の両面で強化されることで、さらなる成績の向上も期待できるでしょう。

国際的な医療研究拠点へ

新キャンパスの整備は、単なる教育機関の再構築にとどまりません。がん、心血管、脳血管といった疾患領域において、日本国内のみならずアジア地域からも患者が訪れる“西日本有数の研究・診療拠点”を目指す方針が示されています。

また、薬学部、生物理工学部など他学部や、国内外の医療・バイオ関連企業との共同研究体制も強化。新キャンパスは、「医療」「研究」「産業」をつなぐ橋渡しとして、知的財産や新技術の創出にもつながる場となるでしょう。

今後の展望と期待される変化

こうした移転プロジェクトは、全国的にも珍しいことではありません。例えば、岩手医科大学や琉球大学も近年、キャンパスと附属病院を一体化させた移転を実施・予定しており、昭和医科大学も新たに新キャンパスを建設し合わせて校名まで変更しました。少子高齢化が進む昨今は効率的な教育・研究環境の構築が全国的なトレンドになっています。

その中で近畿大学医学部は、地域との共生という独自のコンセプトを強く打ち出しています。単なる大学の移転ではなく、まちづくり・地域活性化と結びついた未来志向のプロジェクトとして、多くの人々の注目を集めています。

結びに──医療教育の新しい形を示すキャンパス

半世紀の歴史を持つ近畿大学医学部は、2025年11月、大きな変革の時を迎えます。教育、医療、研究、地域貢献という4つの要素が密接に融合する新キャンパスは、単なる「場所の移転」ではなく、「理念の進化」と言っても過言ではありません。

医療人を目指す若者にとって、そこは“学びの場”であると同時に、“地域とつながる場”でもあります。そして、泉北ニュータウンの再生という社会課題にも寄与するこのプロジェクトは、他大学や地域行政にも大きな示唆を与えることでしょう。

ただし相変わらずメインキャンパスとなる東大阪キャンパスとは距離があり医学部生が総合大学であることのメリットは享受することは難しそうです。理工学部などと共同研究を実施しているそうですが、サークルや友人関係は今までと変わらずほぼ医学部単体のコミュニティを形成することになりそうです。


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