医師が診察する身体の部位と疾病:診療科ごとの特徴
医師が診察する身体の部位や疾病は、診療科ごとに大きく異なります。ここでは、代表的な診療科とその特徴についてご紹介します。
内科
医者と言えば外科と内科のイメージは皆さんあるでしょう。内科は身体の内側(内臓・血液・神経など)の疾患を扱います。手術を行わず、主に投薬による治療を行います。外科同様、消化器内科・呼吸器内科・循環器内科・神経内科など様々な専門分野に枝分かれします。
- 医師数: 117,767人
- 男女比: 6:4
外科
外科は主に手術によって病気や怪我の治療を行う診療科です。「外科」と一口に言っても様々な分野に分かれており、消化器外科・脳神経外科・呼吸器外科・心臓血管外科・気管食道外科など多岐に渡ります。外科手術は骨を切るなど物理的な力が必要な手術も多いため女性は敬遠しがちで男性比率が高くなっています。
- 医師数: 35,295人
- 男女比: 7:3
整形外科
整体師は国家資格などの公的な資格ではないため、無資格・未経験でも働くことができますが整形外科は医師免許が必要です。整形外科は、骨や関節、筋肉などの「運動器」の機能改善を目的とした治療を行います。背骨や骨盤、四肢が主な治療対象です。診療対象となる症状は、外傷全般、打撲、捻挫、骨折、脱臼、関節痛、四肢のしびれなど多岐にわたります。
- 医師数: 22,520人
- 男女比: 8:2
小児科
小児科は子どもの総合的な疾患を扱います。対象とする年齢と扱う疾患が幅広いため、相応の知識が必要です。一般的に「0歳から成人するまで」が対象ですが、医療機関によっては「15歳まで」など上限を決めている場合もあります。
- 医師数: 17,997人
- 男女比: 3:7
眼科
眼科は目を専門的に診療します。目に関連する疾病であれば手術も行うため、精密な技術が必要です。最近はコンタクトやレーシック需要が多く人気の科です。
- 医師数: 13,639人
- 男女比: 3:7
産婦人科
産婦人科は、産科と婦人科の両方を兼ねた診療科です。産科は妊婦の検診や出産、母体と新生児のケアを行い、婦人科は子宮や卵巣などに関わる女性特有の疾患を扱います。
- 医師数: 13,673人
- 男女比: 3:7
耳鼻咽喉科
耳鼻咽喉科は耳・鼻・のど等の疾患を中心に診療します。めまい、耳鳴り、アレルギーなどの内科的な治療のほか、副鼻腔や耳の内部、咽頭・扁桃などの外科的手術を行うこともあります。花粉症などの悪化を受けて最近勢いがあります。
- 医師数: 9,598人
- 男女比: 5:5
皮膚科
皮膚科では全身の皮膚や爪に関する症状を診療します。虫刺されから皮膚がんや美容医療まで、皮膚に関する疾患はすべて扱います。男性が多い医師業界ですが、皮膚科医は半数以上を女性が占めています。外科とは異なり力が不要な点、女性のほうが肌に注意を払うことが多い点等で女性に人気があります。また施術であっても肌を男性に見せたくないという女性も一定数いるため女性需要が高いです。
- 医師数: 9,869人
- 男女比: 2:8
精神科
精神科では不安やイライラなどの気分症状から、統合失調症やうつ病、発達障害、認知症などのケアを実施します。患者とのコミュニケーションが重要です。外科や内科などと違い手先の器用さなどが求められません。自身のミスで命に関わることがないため直接的な医療行為に抵抗を持つ人に人気があります。しかし精神的に問題のある人が押し寄せるため医者の中でももっともコミュニケーション能力が求められます。
- 医師数: 16,490人
- 男女比: 5:5
救急科
救急科は緊急度・重症度の高い救急患者を24時間体制で対応する救急外来です。他科や救急隊とも連携しながら、迅速な判断と処置を行います。
- 医師数: 3,950人
- 男女比: 6:4
放射線科
放射線科はX線写真・CT・MRIなどの画像検査によって病気を見つけ出し、病変に対して放射線を照射することで、患者を切らずに治します。
- 医師数: 7,112人
- 男女比: 5:5
麻酔科
麻酔科は手術や治療における痛みを取り除くだけでなく、手術中の患者の安全を確保するための全身管理も行います。
- 医師数: 10,277人
- 男女比: 3:7
※厚生労働省:「医師・歯科医師・薬剤師調査(2020年)」より
医師になるには
1. 医師免許の取得までの道のり
医師になるためには、まず医師国家資格に合格する必要があります。大学の医学部へ進学し、6年間のカリキュラムを修めて卒業(見込みも含む)する必要があります。
2. 医師国家試験の概要・合格率
医師国家試験は毎年2月上旬~中旬に2日間に渡って実施され、計400問出題されます。試験に合格することで、医師としてのスタートラインに立つことができます。
3. 臨床医と研究医
医師には、患者と向き合い診療を行う臨床医と、大学や研究所などで基礎研究を行う研究医の2種類があります。また、医師に課せられた仕事として教育もあり、経験を次世代の医師へと引き継ぐことが求められます。
医師の役割・資質とは?
医師に必要な資質の一つにコミュニケーション力があります。問診や患者との会話から診断に役立てる情報を引き出し、患者とその家族に治療方針や投薬について説明することが重要です。相手の気持ちを理解し、共感することも求められます。また、最新の知識・技術を身につけるための知識欲と向上心も重要です。
医師になるためには?
医師国家試験に合格し、2年間の初期臨床研修を経ることで臨床医として活動できます。研修は「医師臨床研修マッチング」により決定され、各病院のプログラムに沿って様々な診療科を回ります。
医師の給料
令和4年賃金構造基本統計調査によると、医師の平均年収は以下の通りです。
- 男性医師: 1,514万8,100円
- 女性医師: 1,138万3,700円
- 男女計: 1,428万8,900円
お金持ちですね。
医師の働き方の種類
産業医
産業医は職場にて働く人たちの心と身体の健康を守り、快適な作業環境を維持する役割を担います。
研究医
研究医は病気の原因や治療法を研究する医師で、大学や病院、専門の研究機関などで働きます。臨床研究医と基礎研究医の2種類があります。
法医学医
法医学医は身元不明のご遺体の識別や死因の解明を行い、裁判所などで情報が扱われることもあります。
医系技官
医系技官は国民全体の医療の充実を目指す行政官で、データの検証や政策立案の補佐を行います。
メディカルドクター
メディカルドクターは製薬会社に勤め、新薬の研究開発やデータ提出を行う医師です。
このように、診療科ごとに異なる特徴を持つ医師の役割や働き方について理解を深めることで、自分に適した分野を見つける参考にしていただければと思います。