医学部が他の学部とレベルが違う理由
大学受験においてなぜ医学部だけが圧倒的にレベルが違うのか。なぜ医学部だけは医学部専門予備校が成り立つほど熾烈なのか。文学部専門予備校や法学部専門予備校、理学部専門予備校などは存在しません。
医学部が他の学部と比べてレベルが違うとされる理由について、まずは偏差値を基準にして考えてみましょう。偏差値は各学部の難易度を示す一つの指標であり、医学部が特別である理由を理解するための有力な材料となります。
偏差値の違い
医学部の偏差値
まず医学部は、国公立大学医学部と私立大学医学部の2種類に分けられます。(医学部に限りませんが)
国公立大学医学部の合格のために必要な偏差値は62.5から65.0程度、私立大学医学部の場合は65.0前後です。これは、受験者が100名いた場合、トップの5名に入らなければならない数値であり、医学部の競争の激しさが伺えます。
最低でも65.0でありこれは理系ならMARCHの上位でも足りないくらいの偏差値で早慶合格でようやく勝負になるといったレベルです。
他学部の偏差値
一方で、他学部の偏差値を見てみると、平均で経済学部は50台、文学部や法学部も同様に50台が合格のための標準的なラインです。この比較からも、医学部が他学部とは一線を画する難易度であることが明白です。なによりも医学部以外の学科にはBFと言われる定員割れ大学(Fラン大学)があります。少子化で大学全入時代となった今大学名を選ばなければ自分の行きたい学問を学べます。
しかし医学部にはそれが許されません。
入試倍率の違い
国公立大学医学部の入試倍率
国公立大学医学部の入試倍率は、2019年度の平均で4.4倍程度です。一方、私立大学医学部の入試倍率は15.0倍ほどとなっています。国公立大学は二次試験が同じ日程で行われるため、複数の大学を同時に受験することができず、平均倍率は低めですが、それでも他学部と比べると高いです。
私立大学医学部の入試倍率
私立大学では試験日程が異なるため、1人で複数の大学を受験でき、そのため倍率は高くなります。しかし、この高い倍率がそのまま難易度の高さを示すわけではありません。同じレベルの受験生が集まるため、競争は熾烈であり、1点の違いで合否が決まることもあります。特に昨今私立医学部は各地方に入試会場を設けていることがほとんどです。一部首都圏の医学部と岡山の川崎医科を除けばほぼ地元(都市部)での受験が可能です。つまり立地における大学の差異はほぼありません。
試験科目の違い
国公立大学他学部
一般的な国公立大学の他学部では、共通テスト5教科7科目に加えて、二次試験で数学・理科・英語から2~3科目が課されます。
国公立大学医学部
一方、国公立大学医学部では共通テスト5教科7科目に加えて、二次試験で数学・理科2科目・英語の4科目が一般的です。また、共通テストでの理科や社会の選択科目も、他学部と比べて難易度の高いものが要求されます。
理科2科目がほぼ確定となるため負担がかなり大きくなります。大学を選べば1科目で受かることも可能ですし理科や数学をやらずに受かることも可能ですが浪人して目指す大学のレベルが上昇することや他大学も併願することを考えると現実的ではないでしょう。
二次試験の難易度
数学の難易度
例えば、数学の有名参考書「青チャート」では問題の難易度を1〜5で示していますが、他学部の二次試験では難易度5の問題は少ないです。しかし、医学部では難易度5の問題が多く出題され、さらに青チャートにも載っていない高難易度の問題も出題されます。こうしたことから専門的な対策が必要になり医専などにも需要が生まれます。他学科にはないことです。
他の科目の難易度
英語や理科も同様で、単語数約2000文字の高難易度な超長文を課す医学部や、資料集にも載っていないような化学実験・物理現象・生物実験の問題が出題されることがあります。医学部の二次試験は、かなり特殊な難易度となっています。英語は医学部専門的の医療用語が大量に出てくる医療英語を覚えないと文章を読むことすらままなりません。物理では血液の流れを回路に見立てて物理で解き明かす問題が出題されるなどまさに医学部以外の人には解けない問題がわんさか出題されます。
医学部特有の試験形式
コミュニケーションスキルの評価
医学部の面接試験では、医師としての適性を測るためにコミュニケーションスキルが重視されます。グループディスカッションやMMI面接など、多様な面接方式を取り入れ、受験生のコミュニケーション能力を厳しくチェックします。
病院に行ったことのある人ならばわかると思いますが医者とは積極的に話てコミュニケーションを取りますよね?それができないようでは困るということです。そんな人は合格前に弾かれてしまうわけです。
まとめ
医学部が他の学部とレベルが違う理由は、偏差値の高さ、入試倍率の違い、試験科目の多さ、二次試験の難易度、そして専門知識や小論文の出題、面接試験の実施によるコミュニケーションスキルが求められる点にあります。医学部受験は極めて高い学力が求められる難関であり、将来医師を目指す受験生にとっては避けて通れない道です。合格を目指すためには、しっかりとした対策と綿密な準備が必要です。