2024.07.11

東京女子医科大学の度重なる不祥事:医学部受験に影響はある?

東京女子医科大学の現状と課題

歴史と魅力

東京女子医科大学は、1900年に吉岡彌生によって設立された「東京女医学校」を前身とする、120年以上の歴史を持つ日本で唯一の女子医大です。新宿区に位置し、女性医師の育成を目的としたこの大学は、世界的にも珍しい教育機関であり、ペンシルバニアやダッカにしか類似の女子医大は存在しません。吉岡彌生ゆかりの地である静岡県掛川にもキャンパスを持っていましたがコロナ禍による移動制限や人員不足などで掛川へ人材派遣ができないとのことから掛川キャンパスを廃止し東京のキャンパスに統合されました。キャンパスはすでに取り壊されており茶畑に変わる日も近いかもしれません。

経営悪化と学費値上げの影響

2016~2018年度の連続赤字や2020年のコロナ禍による経営悪化により、学費の大幅な値上げが決定されました。短期的には経営改善が見込まれるかもしれませんが、受験者数の減少、偏差値の低下、そしてブランド力のさらなる低下が懸念されます。さらには今春に多額の横領が明るみとなりボーナスカットや学費値上げで無理やり算出したお金で何をやっているんだと非難の対象になりました。

学費値上げと受験者減少

2021年に学費を3400万円から4600万円に引き上げたことが大きな波紋を呼び、受験者数の減少を招きました。学費の負担が増したことは確かですが、東京女子医科大学が持つ長い歴史と伝統に魅力を感じる受験生も少なくないでしょう。この額は川崎医科とほぼ変わらない2番目に高い学費となりサラリーマン家庭では支払いが厳しい現実があります。それでも箱入りの一人娘なら祖父母家庭も巻き込み田畑を売ってまで医学部に入れる家庭もありますが兄弟がいるとなかなか厳しいのも現実です。

難易度と立地と偏差値

女子医大の難易度は、私立医学部の中では比較的易しい部類に属します。しかし、東京都心部という好立地にありながら、女性しか受験できないために受験者層が限定され、高額な学費が影響して現在の位置づけとなっています。順天堂や関西医科は大幅な値下げをした結果医学部御三家に引けをとらない人気を博していることから学費による偏差値の増減というのは大きな要因となります。
東京都市部に存在しながらも女子医のため外科医不足が慢性的にあるため外様医者が多く在籍します。外様を嫌う白い巨塔気質な病院からは逃れたいが都市部に在籍しながらキャリアを積みたい医局員たちからはひそかな人気があります。

医療事故とブランド低下

2000年代に入り、度重なる医療事故や不祥事が発生しました。特に2001年の「12歳女児の心房中隔欠損症手術後の死亡事故」と2014年の「2歳男児への鎮静剤プロポフォール大量投与による死亡」事故が大学病院の信頼性を揺るがし、特定機能病院の承認取り消しにまで至りました。これらの事件が影響し、医療界全体での評価も低下し、経営も厳しい状況に陥っています。

女子受験生差別是正の流れ弾

東京医科大学の差別問題で多浪や女子差別が明るみになって以降どこの大学でも行われていた女子間引きができなくなりました。医者という職業は激務なことに加え骨を切ったりする作業にはかなりの力が必要なため女子に向かない科が多く、業界として女子医師は煙たがられていました。力仕事や夜勤のない皮膚科や精神科などがメインの選択先となり自身で大学病院を抱える大学からは不要とされてしまっていた背景があります。最終的には医学部受験にまで影響し女子を減点し間引く行為が平然と行われてきました。しかし国から目をつけられてはそうもいかずどこの大学も女子合格率が上昇しています。もともと女子しか受け入れていない東京女子医大には関係ない話かと思いきやこれが大打撃となります。今までは優秀な女子も女子であるが故様々な大学から落とされ最終的に女子医大に流れてついていました。延いてはこれが優秀な学生を女子医大に集める結果となり大きな権威を保っていました。しかし他の大学へ女子でも合格がもらえるようになった今、女子医大より環境のいい医学部に受かれば学費も高くブランド低下の著しい女子医大に優秀な人材は集まらなくなってしまいました。

早稲田大学との合併の噂

東京女子医科大学は早稲田大学の近くに所在しているため、経営悪化に苦しむ女子医大と早稲田大学の合併の噂が絶えません。両校は2008年から共同大学院を設置していますが、現時点で合併の具体的な見通しは立っていません。早稲田大学側は医学部設置を熱望しており大学設立100年事業などでも設立に動きましたが現在まで設立に至っていません。早稲田大学としては永遠のライバル慶応義塾大学と比較されたとき医学部の有無が争点になってしまいここで苦汁を飲まされてきたので何とかしたいという考えがあります。しかし女子医大は女子医大のブランドがあり経営者一族も早稲田ブランドに取り込まれることをあまりよく思っていないため外野の妄想の域を出ません。

東京女子医科大学の受験について

女性医師が長く活躍することは依然として簡単ではありませんが、東京女子医科大学には多くの先輩やメンターが存在し、これからも女性医師の育成に力を入れていくことでしょう。いくら人気低迷とはいえFランではありませんし医学部受験は簡単に受かるわけではありません。女子医の女性限定の医学部入試という特性から、男子受験生がいないため女子受験生にとっては医学部進学の大きなチャンスでもあります。女子医には女子医にしかない素晴らしい観点が沢山あります。様々不祥事はあるとはいえこれから受験する学生は学費の心配さえなければ女子医大をわざわざ敬遠する必要は一切ないでしょう。

結論

東京女子医科大学は、多くの困難を抱えながらも、その歴史と伝統に支えられて存在しています。経営改善と信頼回復を図りながら、女性医師の育成に貢献し続けるための努力が求められています。未来に向けて、大学全体での改革と体質改善が急務であり、その結果がどのように現れるかが注目されます。

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