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医学部受験の厳しさ
医学部に滑り止めは無い
医学部の受験は、非常に厳しい競争を伴います。「楽に入れる医学部はない」という認識は正しく、多くの受験生が実感する現実です。よく「医学部に滑り止めはあるのか」と問われますが、実際には他学部のような気軽な滑り止め校は存在しないと言えます。特に近年、私立医学部の競争率が高まり、偏差値も上昇しているため、簡単に合格できる場所はありません。医学部に滑り止めは無い証拠として他学科では見ない多浪にあります。医学部では3浪して一人前というような風潮までありますが普通の学科で大学全入時代に多浪する人はいません。学歴コンプレックスをこじらせているわけでもないのに多浪が発生してしまう医学部というのはまさにすべり止めが存在しない鬼門と言えます。
他学部と比較した医学部のハードルの高さ
偏差値65は無いと話にならない
より具体的に医学部について可視化してみましょう。医学部の入試は、他の学部と比較してもその難易度の高さが際立っています。いわゆる「御三家」(慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学)は、東京大学や京都大学に匹敵する難易度を誇ります。比較的入りやすいとされる大学でも偏差値のボーダーラインは65前後です。他学部では、国公立大学で偏差値50~60程度で入学可能な場合も多く、一部の私立大学には「ボーダーフリー」と呼ばれる偏差値を問わない(正確には定員割れで偏差値をつけられない)学部も存在します。
しかし、「医学部」を目指す以上、最低でも偏差値60は必要です。つまりBFや低偏差値となる医学部は事実上存在しません。受験生はこの現実を理解し、受験戦略を練る必要があります。
国公立志望者が本命かワンランク下を狙うかの判断
有名国公立に行きたいのか安く医学部に行きたいのか
共通テストが終わると、大手塾や予備校が各大学のボーダーラインを発表します。これを基に受験校を決めることになりますが、その選択は非常に難しいものです。例えば、第一志望を九州大学医学部にしている学生が共通テストの結果でボーダーラインを少し下回った場合、旧帝大を目指し続けるか、ワンランク下の大学に志望を変更するかの判断を迫られます。
「絶対に浪人できない」と考え、合格の可能性が高い大学を選ぶ学生もいれば、「浪人覚悟で本命に挑む」という学生もいます。こうした判断は容易ではなく、多くの受験生が悩むところです。学校の進路指導では一般的に安全圏を勧められますが、最終的な出願校の選定は自己判断が大きな要素を占めます。
他学部とは私立との金銭的な差が大きすぎる
他学部の場合は国立に行ければうれしいが早慶MARCHでも上々といったところですが医学部は学費が違いすぎるためそうもいきません。国公立なら350万ですが私立は安いところでも2000万、高いところは4500万に昇るなど国公立に行く意味が他の学部とは段違いなのです。
国立大学の学費
- 4年制(文・理):約243万円
- 6年制(医歯獣):約350万円
(文理によって違いなし、公立大学は出身・在住地域などにより変動有)
私立大学学費平均
- 文系学部:約400万円
- 理系学部:約550万円
- 文理とも学科、大学によって差があります。
- 医歯系学部:約2000~4500万円
この差を見れば歴然でしょう。
文系ならばもはや共通テストで科目数をいたずらに増やすより私立専願で有名大学に行くほうがいいとすら考えられます。
理系でももし実家から通えない国立に行くとなると実家から通える私立のほうがトータルの出費が少なくなります。特に首都圏の国公立は全国から人が集まりますし元々の人口も多いので倍率が高い。必然的に私立の大学の選択肢も高くなるのです。
医学部はケタが違いますから競争は熾烈で意地でも国立というケースもよく見られます。
私立医学部受験の難しさ
私立大学医学部の受験は、日程や方式が多様なため、受験校選びは慎重に行う必要があります。全国に31校ある私立医学部のうち、10校程度は1月中旬から下旬にかけて一次試験を実施します。この短期間に試験が集中すると、日程調整や試験会場への移動、コンディションの維持が課題となります。さらに、過密な日程の中で入試書類の準備や宿泊施設の手配といった負担も生じます。
偏差値だけでなく、各大学の試験問題の傾向も異なるため、受験校選びは一層難しくなります。同じ偏差値帯の大学でも試験の形式や出題内容に違いがあるため、自分の得意分野や特性に合った大学を選ぶことが重要です。単なる「滑り止め」として選んだ大学が自分に合わない試験内容だった場合、不合格となるリスクもあります。
また試験日程も過密で共通テスト後すぐに試験が始まってしまいます。共通テスト後に立て直す時間がないため体調を崩したり私立の問題の解き方忘れて思い出すなどの悠長な時間はゼロなのです。
国公立大学志望者の併願校選び 私立は何校受ける?
国公立大学を第一志望とする受験生が併願する私立医学部は、共通テスト後の対策に影響を及ぼすため、慎重に選定する必要があります。併願校が多すぎると第一志望校の対策時間が減少し、不利になることもあります。そのため、併願校は多くても5校程度に絞ることが推奨されます。国公立を目指せる学力がある受験生は、難易度の高い私立大学に限定して受験するのも戦略の一つです。
不安を感じた場合、入試日程が早い大学の一次試験を「腕試し」として受験することもあります。しかし、「安全だ」と考えて受けた大学で不合格となった場合の精神的なダメージは大きいです。受験費用の観点からも、合格した場合には通う意思がある大学を選ぶことが賢明です。
チャレンジ校の選定と後期試験の注意点
慶應義塾大学は滑り止めにならない?
私立大学の中でも慶應義塾大学は特に高い難易度を誇り、旧帝大や東京医科歯科大学を受験する学生が併願することも一般的です。慶應の入試問題は独自性が高く、チャレンジ校として受験する価値があります。場合によっては入試問題が自分に合い、逆転合格することもあります。慶應はその難易度から国公立合格者でも不合格となるケースがあります。
後期試験は運要素が強い
後期試験は倍率が非常に高く、合格は難しいとされています。合格者数は一桁しかおらずもはや運、神頼みと言える大学がほとんどです。ただし、山梨大学や奈良県立医科大学のように後期試験のみで多くの定員を取る大学もあり、選択肢に入れる価値があります。しかしこれらの大学は東京大学や京都大学大阪大学など難関国立にチャレンジして夢破れた戦士のおこぼれを拾おうとする入試です。つまりライバルは旧帝大落ちばかりの強敵なので難関極まることに変わりありません。最終的には、共通テスト模試などを参考にして出願を判断するのが良いでしょう。
医学部以外の医療系学部を滑り止めにする場合
医学部以外の学部に行く選択肢
浪人を避けたい場合、薬学部や歯学部、看護学部を滑り止めとして選ぶケースもあります。これらの学部は医学部より偏差値が低く、同じ医療系であるため、二次試験の科目が共通している点が利点です。
ただし、医学部への思いが強い場合は注意が必要です。他の学部に進学したものの、「本当にやりたい学問ではない」「将来の目標が異なる」といった理由でモチベーションを失い、留年や最悪の場合、退学に至るケースもあります。後悔を避けるためには、自分の気持ちを整理し、医学部への思いをしっかり見極めることが大切です。
しっかりと切り換えてポジティブに他学科に行けないならばやめましょう。自分の興味のないことを大学で4~6年間も学び続けるということは苦行です。特に理系の不本意入学は留年、退学、放校につながります。適当なモチベーションでは授業についていけませんし就職先も学科選考をもとに選ぶとなると生涯その学問と向き合っていくことになります。それに耐えられないケースが散見します。
そうして半端な気持ちのままやっぱり医者への道をあきらめきれず再受験に踏み切るケースが後を絶ちません。現役時代ですらつらかった医学部受験を年を食って高校の勉強からも離れ再度勉強し直すのは苦難の道です。切り替えられないのであれば素直に浪人して医学部受験を続けましょう。
推薦制度や地域枠の活用も視野に
医学部に比較的入りやすい方法として、学校推薦制度や地域枠制度があります。多くの国公立・私立大学が推薦制度を設けており、一般的に学習成績の評定が条件です。また、地域枠制度は地方の大学で実施されており、卒業後に特定地域で医療に従事する義務が課されます。地域枠も不本意かもしれませんが全く関係のない学部に行くよりも自分のやりたい仕事をやれるのでまだそちらの方が納得感のある選択となるでしょう。
最後に
医学部受験は非常に厳しい挑戦ですが、その分だけ計画的な戦略と自己判断が求められます。失敗を恐れず、十分な情報を集め、自分に最適な受験戦略を見つけてください。