夜間の医学部:現状夜間課程で学べる医学部は存在しない
結論から述べると、日本国内には夜間課程で学べる医学部は存在しません。医学の学習内容の特殊性とその負荷の高さが、夜間学習の不可能性の主な理由です。しかし、夜間授業に対応している医学系大学院が一部存在しており、これらを活用することで働きながら医学研究を進める選択肢もあります。以下では、医学部の夜間課程が存在しない理由と、関連する代替手段について詳しく解説します。
医学部に夜間課程が存在しない理由
医学部は他の学部と比べて、必修科目の多さと実習の多さが特徴です。この点が働きながら学ぶことを困難にしています。働きながら医者になるなどということはできないと判断されていると言えます。
1. 授業時間の長さと密度が圧倒的
医学部では、1年次の一般教養から2年次以降の専門科目に至るまで、平日の大半が授業や実習で埋め尽くされます。通常、授業は月曜から金曜の朝9時から夕方5時頃まで行われ、特に臨床実習が本格化する後半の学年では、夜間に及ぶ場合もあります。(大学によって差異あり)このようなカリキュラムにより、昼間に別の仕事を持ちながらの学習は事実上不可能です。
2. 実技・実習の重要性
医学部では、机上の知識にとどまらず、実技や実験、臨床現場での実習がカリキュラムの中心を占めます。これらの活動には長時間を要し、夜間のみに学べる形態では対応できないのが現状です。
3. 教育水準の維持
医学部の教育は、高い水準の専門知識と実践力を求められるため、短縮的な形や夜間に限定した課程ではその質を担保することが難しいとされています。
ダブルワークのような状態で片手間で済ませられるレベルの学問ではないということがわかります。
では医学部を目指しながら働くこと不可能か?
働きながら医師を目指すのは非常に困難ですが、不可能ではありません。ただし、この場合、昼間の職業を辞めて夜間の仕事に就き、昼間の時間を学業に充てる必要があります。また、このような生活には相当な努力と時間的制約が伴い、長期的なプランニングが不可欠です。
医学部大学院:夜間対応は2校のみ
夜間課程での学びを希望する方には、夜間授業を提供している医学系大学院が選択肢として挙げられます。現在、日本国内で夜間授業を行っている医学部大学院は、以下の2校のみ確認されています。
- 鳥取大学大学院 医学系研究科医学専攻(博士課程)
鳥取大学では昼夜開講制度を採用しており、社会人学生が夜間や休日を活用して学べるカリキュラムを提供しています。同大学のプログラムは、専攻分野で自立した研究者を目指す高度な学術能力を養成することを目的としています。また、附属病院との連携により、実習施設や研究環境が充実しているのも特徴です。 - 久留米大学大学院 医学研究科(修士・博士課程)
久留米大学も鳥取大学同様に昼夜開講制度を採用しており、社会人が働きながら通学可能です。この大学院では基礎医学や社会医学、バイオ統計学、臨床看護学など、幅広い分野を学ぶことができます。さらに、国際的視野や人間性の涵養、地域医療への貢献といった多面的な教育方針が掲げられています。
ただし両校とも卒業したとしても医師免許は取れず医者になるためには6年制医学部を卒業するしかありません。あくまで6年制医学部を卒業した人が医者としてのキャリアを積みながら博士課程を取るために設置されていると考えて間違いないでしょう。
医学部大学院の学びと医師資格取得
前述の通り医学部大学院での学びは、医師資格取得には直接結びつかないことを理解する必要があります。医師免許を取得するには、医学部の6年制学士課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。一方、医学部大学院は研究者や高度な専門職を目指すための課程であり、医師資格取得を目指すものではありません。
結論
夜間課程で学べる医学部は現状日本には存在しません。鳥取大学や久留米大学のように、社会人向けの夜間大学院課程を提供している大学もあります。あくまで医師資格を持っている人が研究職への道を働きながら身に着けるためにある学校です。医師になりたい人は夜間は存在しないため普通科の医学部を受けるしかありません。