2025.01.03

医学部入試の志望理由書:どうやって書く?求められている内容とは

医学部入試の志望理由書とは

医学部入試において、志望理由書は受験生の意欲や適性をアピールするために非常に重要な書類です。多くの医学部では出願時に提出が求められ、内容次第で面接の評価にも影響を与えます。以前大学別に個別で志望理由書について記載しましたがこの文章では、医学部全体の志望理由書の目的、必要な要素、書き方のコツについて解説します。


志望理由書の役割と目的

志望理由書は、面接官が受験生の考えや熱意を評価する材料です。この書類には、以下のような内容が含まれることが一般的です:

  • 志望理由:「なぜその大学を選んだのか」について具体的に記載します。
  • 志望動機:「なぜ医師を目指すようになったのか」を述べます。
  • 将来の医師像:「どのような医師になりたいのか」を描きます。

これらを通じて、受験生が医師を志す動機の強さや、その大学に対する理解度、さらには将来のビジョンが一貫しているかどうかが判断されます。


医学部志望理由書の構成

志望理由書を書く際には、以下の構成を意識することが重要です。

1. 結論から始める

最初に「自分の志望理由」を簡潔に述べましょう。例えば、私は地域医療に貢献する医師を~など端的に結論を提示します。人は結論を伝えられずに情報を得ることに長々と耐えられません。特に一日に何百通も志望理由書を読むわけですからコイツ何が言いたいのかわからないと思われるといきなりマイナススタートになってしまいます。

2. 根拠を示す

自分の結論を支える理由を述べます。この際、「その大学を選んだ理由」と「医師を目指す理由」を具体的に記載します。

  • 大学選びの理由: 志望大学の特色や教育方針、研究内容に触れ、その魅力を具体的に挙げます。
  • 医師を目指す理由: 過去の体験や価値観の変化を基に、自分が医師になりたい理由を説明します。

アドミッションポリシーなどから引用して大学のことについて書くのが一般的ですがありきたりなので少々飽きられるかもしれません。今はネットで情報をいくらでも拾えるので他校と比較しやすいです。アドミッションポリシーに記載されているからその大学特有のものだ!と決めつけずそれは他の医学部でもできますよ?と思われないような内容を記入することがベストです。

3. 具体例を挙げる

自身の経験や具体的なエピソードを使って、志望理由を補強します。例えば、ボランティア活動や医療現場を見学した体験、あるいは家族の病気に直面した経験などがあれば、その詳細を述べると説得力が増します。ただし学校でボランティアに一度参加しただけだったり、コロナに家族が疾患して親切にしてもらったなどだけでは物事のキッカケにしかすぎず医者を目指すには少々パンチに欠けます。重箱の隅を突かれても論理的に返せるストーリーを用意しましょう。

4. 結論で締めくくる

最後にもう一度志望理由を簡潔にまとめ、熱意を強調します。「貴大学で学び、地域社会に貢献する医師を目指します」などのように締めると良いでしょう。


書き方のポイント

志望理由書の完成度を高めるために、以下のポイントに注意してください。

1. 「医学部でなければならない理由」を明確に

医師を志す理由が曖昧では、試験官に「他の職業でも良いのでは?」と思われてしまいます。具体的な目標やその背景にある体験を述べ、「医師でなければならない」理由を明示しましょう。

2. 「その大学でなければならない理由」を示す

志望大学のパンフレットや公式ウェブサイトを参考に、他大学との差別化を図りましょう。たとえば、「貴大学の地域医療に特化したカリキュラム」「充実したシミュレーション教育環境」などの特徴に言及し、それが自分の将来像にどのように繋がるかを説明します。

3. 内容の一貫性

文章全体に一貫性があるかを確認してください。「医学部志望」と「志望大学選び」の動機が矛盾していると評価が下がる原因になります。たとえば、「都市部で高度医療を学びたい」という志望理由と「地域医療を支えたい」という将来像が一致しない場合、再考が必要です。

4. ストーリー性を持たせる

「過去→現在→将来」の順でストーリーを組み立てると、読み手に分かりやすく伝わります。

  • 過去: 医学部を目指すきっかけや背景
  • 現在: 志望大学の魅力と、自分の学びたいこと
  • 将来: どのような医師になりたいか、その実現方法

5. 読みやすさに配慮

文章は適度に段落分けをし、一文が長くなりすぎないように工夫します。漢字とひらがなのバランスは、漢字が3、ひらがなが7の割合を意識すると読みやすいです。ただし文字数制限もある場合が多いため、このことは頭の片隅に置いておくくらいのイメージで問題ありません。そこまで気にかけずいつも通りの文章で大丈夫です。


避けるべき表現と注意点

志望理由書では、以下のような内容は避けるべきです。

1. 動機の曖昧さ

  • 例: 「親に勧められた」「医師は収入が良いから」「モテるから」
    こうした理由では、自発的な動機が伝わらず、熱意が感じられません。
    すべて事実でしょうがあくまで医者という資質を見ています。医者はあらゆる人間とのかかわりを持つ職業です。例えば医学部に進んだ以上、コミュニケーション一つで生死を分ける精神科医になる可能性もあるわけです。本心をさらせばいいというわけではありません。多少不純な動機をもっている医者も人ですからいます。しかしそういった部分を晒してしまうほど人間性に欠けると判断されれば少々勉強が出来ても落とされてしまいます。

2. 表面的な理由

  • 例: 「入学後すぐに実習があるから」
    特定の大学だけアドミッションポリシーやHP、パンフレットなどを繰り返し見ていると思い込みやすい罠です。他大学でも同じ特徴がある場合、それだけでは説得力に欠けます。「その大学の実習が特に優れている理由」を補足しましょう。

3. 倫理観を疑われる表現

患者の利益を軽視するような記述や、医療の社会的責任を軽んじる表現は厳禁です。たとえば、「医師になれば社会的地位が高まるから」などの記述は避けましょう。1と似たような話ですね。自分の利になることはあって当然ですが医者になるなら言葉を選び間違えるなということです。あなたの発言一つで患者の精神状態が大きく変わってしまうこともあるということを理解しましょう。

4. 嘘で話を作る

正直普通の高校生なら驚くような実績は上げてないでしょうし、こんなこと書いて何になるんだと思い嘘をついてしまう人が度々います。それは絶対にやめましょう。医学部側もありとあらゆる難題を解決してきたスーパー高校生を求めているわけではありません。ちゃんと論理的に倫理観のある話し方をできるのかを見られているだけです。嘘をつくなんて行為は倫理観ゼロだなとみなされてしまいます。



まとめ

医学部入試の志望理由書は、単なる形式的な書類ではなく、自分の目標や熱意を具体的かつ魅力的に伝えるための重要なツールです。過去の体験や将来のビジョンを論理的かつ一貫性のある形でまとめ、志望大学の特徴を理解した上で記述することが求められます。時間をかけて丁寧に仕上げることで、合格に繋がる説得力のある志望理由書を作り上げましょう。

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