2025年度の共通テスト国語:難易度は例年通り
2025年度の共通テスト国語では、形式や内容にいくつか変化が見られました。特に注目すべきは、第3問として新たに言語活動に焦点を当てた大問が設けられた点です。また、昨年度と比べて大問数や設問数は増加しましたが、解答数(マーク数)は変わらず、全体の難易度は昨年とほぼ同水準に保たれていると考えられます。文章量が増加し速読力が試されましたが選択肢の数を減らすなどうまく試験のバランスを保っています。以下、出題形式と内容について詳しく見ていきます。
構成の概要
2025年度の試験は以下の構成でした
- 近代以降の文章:第1問~第3問
- 第1問・第2問は従来通りの評論文と小説。
- 第3問は今年新設され、実用的な資料や言語活動を扱った問題。
- 古典の文章:第4問(古文)、第5問(漢文)
- 複数のテキストを組み合わせる形式が採用されました。
設問数が増加し、全体の分量がやや増えたものの、解答数に変化がないため、時間配分の負担は昨年度とほぼ同じと考えられます。
各大問の内容と難易度
第1問(評論文)
テーマは観光の本質についてで、「する観光」と「見る観光」という概念を軸に議論が展開されました。抽象的な内容ではあるものの、文章自体は構造が明確で読みやすく、設問も昨年より1問減少しており、取り組みやすい印象を与えました。
第2問(小説)
蜂飼耳の『繭の遊戯』が出題され、主人公の心情や比喩表現の効果を読み解く問題が中心でした。選択肢が昨年度の5つから4つに減少したことは受験生にとって有利でしたが、設問自体は深い読解力を要求するもので、難易度は昨年と大きく変わらなかったと言えます。
第3問(新設:実用的文章)
第3問では外来語の使い方について議論する構成でした。文章やグラフを含む複数の資料を基に、文章の要点を整理したり、適切な表現を考えたりする問題が出題されました。新設された範囲でしたが設問は具体的で明快なものが多く、情報整理が得意な受験生にとって取り組みやすい形式でした。
第4問(古文)
古文は『源氏物語』と『在明の別』を組み合わせた構成で、登場人物の関係性や心情を把握する問題が出題されました。設問数が減少し、選択肢が4つに統一されたため、昨年度よりも解きやすい印象でした。
第5問(漢文)
江戸時代の漢学者の評論を題材にした問題で、昨年と同様に複数の漢文を比較する形式でした。設問内容は返り点や書き下し文の理解が中心で、基礎的な漢文の知識があれば対応可能でした。
分量と時間配分
- 現代文:第1問は昨年より短縮され、第2問はやや長くなりましたが、全体として大きな負担増加はありませんでした。第3問の新設問題も資料が簡潔で、解答に必要な情報が整理しやすい構成でした。
- 古文・漢文:どちらも字数がやや増えたものの、設問が簡略化されたため、昨年度と同じペースで解答可能だったと考えられます。
全体の総括
2025年度の共通テスト国語は、全体的に昨年と同程度の難易度でした。一部の問題では新傾向が見られたものの、解答のしやすさを意識した設問設計が目立ちました。特に第3問の新設は、情報整理や言語活動を重視する新しい方向性を示しています。これにより、今後の共通テストがどのような形に進化していくのかが見えてきた年と言えるでしょう。