医学部入試における英語の勉強法
医学部入試において英語は、理系科目と比べて「得点の安定化」に最も寄与する科目の一つです。理数系は当日特有の緊張や計算ミスで点が大きく上下しやすいが、英語は基礎技能(語彙・文法・読解力)が整っていれば安定して高得点を取りやすい性質を持ちます。一方で上位校の医学部入試では、長文読解・要約・英作文などで思考力や論理的表現力が強く問われるため、差がつくポイントにもなります。したがって合格を確実にするには「盤石な基礎力の定着」と「医療系テーマに特化した応用力」の両輪で学習を組み立てることが必要です。
医学部英語の特性分析
語彙レベル
- 求められる語彙は「一般難関語彙+専門語の理解」。基礎語彙(難関大学水準の語彙群)を確実に押さえた上で、医学・生命科学関連の語彙や語根・接辞の知識が得点差を生みます。専門語は完全暗記よりも文脈から推測できる能力が重要です。
出題テーマ
- 頻出トピックは生命科学、公衆衛生、医療倫理、医療技術(AI・ゲノム)、脳科学など。これらは専門知識があると本文理解が速くなり、筆者の主張や根拠を把握しやすくなります。試験では専門性のあるテーマが長文で出題されることが多く、背景知識が解答効率に直結します。
処理速度
- 医学部入試の英語は一題あたりの文字数や情報密度が高く、短時間で要旨を掴む速読力が必要です。1分間あたりの処理語数を上げる一方で、正確性を落とさないバランスを取る訓練が求められます。
設問形式
- 選択式の読解に加え、和訳、要約、自由英作文(特に私立上位や個別試験)、場合によっては資料読み取り問題が含まれることがある。記述比重が高い場合は「論理構成力」と「日本語による要約表現力/英語による論述力」が求められ、単なる速読だけでは太刀打ちできません。
領域別強化プラン
3-1 語彙力の構築
- フェーズ1(基礎)
- 目標:難関大水準の基礎語彙を「受動→能動」へ移行させる。単語帳を用い、単語の意味だけでなくコロケーション・用例・語義の微差を確認する。
- 方法:毎日復習、例文音読で語感を定着。週ごとに単語テストを自分で実施し忘却曲線に対抗する。
- フェーズ2(専門)
- 目標:医学・生命科学系語彙の運用力を身につける。完全暗記ではなく、語根や接辞を利用して初見語を推測できる技能を養う。
- 方法:英文サイエンス記事(短めのレビュー論文や専門メディア)を素材に、専門語を文脈で推測→意味確認→用例整理のサイクルを行う。導入時期は基礎語彙が安定してから(遅くとも高3夏までに本格化)。
3-2 読解力の養成(精読・速読)
- 精読
- 目標:複雑な構文と筆者の議論構成を正確に解釈する力をつける。
- 方法:構文解釈系教材(英文解釈の標準書や演習書)で文型・接続表現・論理関係を系統的に学ぶ。パラグラフごとに主題文(topic sentence)と根拠をマークし、論理の流れを書き出す精読を週2回以上行う。
- 速読
- 目標:長文を時間内に正確に処理するスピードと戦術を身につける。
- 方法:スラッシュリーディングやパラグラフ要約の訓練で「分節化→要旨化」を習慣化する。シャドーイングや音読で処理速度と理解の一致度を高める。多読は背景知識と語彙触れ幅の拡大に有効。
- 背景知識
- 方法:医療・科学系の信頼できる日本語解説書と英語ニュース(要約レベルでよい)を交互に読む。主要トピックの基礎知識(疫学用語、研究手法の概念、倫理論点)を短いメモに整理し、入試前に見返せる「用語&論点リスト」を作る。
3-3 アウトプット(記述)能力の強化
- 和訳
- 方針:直訳を避け、日本語として自然かつ正確に筆者の意図を伝える。キーワードの誤訳と省略を避けるため、原文の論理単位ごとに日本語化してから整理する訓練をする。
- 演習:長文を段落ごとに要旨化→段落間の論理関係を明示→全文を自然な日本語に統合するプロセスを繰り返す。
- 英作文(自由英作文)
- 方針:医療系テーマでは「立場の明示→理由(根拠)→具体例→反論処理→結論」の5部構成で論理を作る。設問で求められる語数制限がある場合は結論を明瞭にすることを優先。
- 準備:頻出テーマ(AI医療、終末医療、ワクチン、公衆衛生データの解釈等)ごとに英文テンプレート(表現、語句、例)を用意しておき、応用できる語彙と論の枠組みを複数持つ。
- 添削
- 原理:自己添削には限界がある。表現の自然さ、論理の妥当性、設問適合性のチェックは第三者(講師や合格者レビュー)で精度が高まる。
- 運用:英作文は週1回は外部添削を受け、指摘事項をテンプレ文や構成ノートに反映して再提出するサイクルを作る。和訳も同様に外部チェックが望ましい。
時期別・戦略的学習計画
受験基礎期(〜高3夏)
- 目標:語彙基盤と文法・構文力の完成、基礎的な精読力の育成。
- 内容:難関大語彙帳の完了(受動→能動へ)、構文演習、英文解釈の基礎教材で週3回の精読、短い英作文の基礎練習。並行して医療系基礎語彙の導入開始。
実力養成期(秋)
- 目標:速読力の向上と記述対策の深化、医療系背景知識の蓄積。
- 内容:長文演習を週3〜4回、本番想定のタイムトライアル実施。英作文は頻出テーマのテンプレート作りと添削サイクル開始。英語多読やサイエンス英語記事の定期読解で専門語の運用力を高める。
過去問演習期(冬〜直前)
- 目標:出題傾向への最終適合と得点安定化。模試・過去問で合格ラインの達成を確認する。
- 内容:志望校の過去問(個別・共通)を本番時間で回す。誤答分析に基づく弱点潰し(語彙漏れ、構文処理ミス、要旨把握の甘さ)。英作文は実戦添削を増やし、本番での時間配分を確定させる。
各期共通の運用
- 毎週のメニュー例:語彙復習(日15分)、精読1本(週2)、速読タイムトライアル1回、英作文1本+添削確認(週1〜2)。
- 成果測定:模試ごとに「正答率」「処理速度」「記述の減点傾向」を定量化し、週次で改善アクションを計上する。
結論
医学部英語攻略の鍵は、「盤石な基礎英語力(語彙・文法・構文)」を確実に固めた上で、「医療系テーマへの専門的な対応力」と「記述表現能力」を計画的に積み上げることです。基礎が安定すれば英語は得点源になり、他科目の不確実性を補える強力な武器になります。
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